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2018/10/09

遅延の少ない優良路線だったはずが・・・

 田園都市線も負けていない。たまプラーザ駅から渋谷方面の電車に乗ろうとすると、行先は「南栗橋」だったり「東武動物公園」だったりする。行先は計13もあるのだ。

 毎日の通勤通学ならどの行先でも東京都心に向かえればよいので気にならないだろうが、地方や他県から来た人はちょっとドギマギしてしまうのではないだろうか。

 それにしてもどうしてこんなにたくさんの鉄道路線と乗り入れをすることになってしまったのだろうか。もともと東京の山手線の内側は私鉄が乗り入れできず、必然として東京メトロと都営地下鉄に乗り入れるというのが首都圏の鉄道網だった。郊外部の人口が激増した時代、このままだと渋谷や池袋などのターミナル駅がパンクしてしまうために地下鉄に乗り入れて直接通勤できるようにしたのが背景だ。

 鉄道各社にとっては駅の混雑のみならず、直通にすれば折り返し車両が主要駅に滞留しないためダイヤに余裕ができ増発が可能となる、また車両の効率的な使用が可能となる、地下鉄と接続することで駅を地下化でき、地上部を再開発できるなどのメリットがあった。

地上の渋谷駅最終日の様子 ©文藝春秋

 ところが、あまりに多くの路線とつなげてしまったことから起きるトラブルに鉄道各社は悩まされることとなる。

 東横線は、乗り入れ以前は遅延の少ない優等路線だった。ところが乗り入れ先での踏切事故、人身事故、電車の故障、酔っ払いの転落など、接続先で発生する、ありとあらゆるトラブルの影響を受けるようになって、むしろ「時刻表通りには来ない」電車に看板がすげ替わってしまったのだ。またこれまでは渋谷が始発で座って通勤できたサラリーマンは、どこから来るともしれない電車は既に満席で、立って通勤する環境変化に口を尖らせた。

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