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シン・カープ!〜広島カープ、暗黒時代の歩き方と錬金術

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/10/14

 始まっちゃいましたよ、2018年CS! こわい!
 
 カープのCSを語るには2017年セ・リーグ2連覇後のCSファイナルステージ敗退を避けては通れない。ああ、そうさ負けたさ横浜さんに。テレビ中継を観ながら連日震えていた私にアシスタントさんが「漫画原稿のペン入れ進めないと! このままだと1日7枚ペン入れ必至の計算になります! 無理! 原稿落ちるぅ!」と悲鳴を上げていた1年前。

 そしてもうひとつカープのCSと言えばあれですよ、16年間Bクラスで「CS? なにそれ美味しいの?」状態だったことだ。

3連覇を達成し、胴上げされる緒方孝市監督 ©時事通信社

マイライフ・アズ・ア・カープ ライカ犬の哀しみ

 広島東洋カープはリーグ3連覇致しました。実に嬉しかった。素晴らしい結果です。何度も言いたい、おめでとう、ありがとうと。

 しかし、昨今よく言われているカープ上げ文言たちはあやしい。育成のカープだの、金でよそから獲ってくるだけの球団はカープを見習えだの、層が厚いだの。3連覇しているからそりゃあベタ褒めですよ、評論家の方々は。

 ……忘れていませんか? 25年かかっているんですよ、その見習おうという育成に。前の優勝から3~4年でいまのカープになったなら見習うべき、と私も思うでしょう。

 本当は見習いたいほど羨ましくはないですよね?

 シーズン開始前に優勝をくちにしたら馬鹿にされてたんですよ丸24年。忘れもしない万年5位時代、漫画の担当さんに「毎年、カープが優勝すると思って開幕迎えてます」と言ったところ、カープが優勝? ナイナイと顔の前で手を左右に振られ半笑いされたわ……うちのマンションロビーでの打ち合わせ中……ソファーに座ったまま泣きそうになったわ……。

 優秀な選手が次々出てくると注目のカープアカデミーだって毎年有望新人がざくざく出てきているわけではないのだ。まだアカデミーやってんのと言われた時期もありました。

 今シーズン、巨人がマツダで勝てないと何度もニュースになった。対広島の巨人の弱さは異常だ、マツダ14連敗とは! と。あのー、カープは東京ドームで15連敗記録があるんですけど。当時まったくニュースになりませんでしたが。裏を返せばカープは巨人にどんなに負けても話題にはならないほどの弱さだったのだ。普通のことだった、東京ドームで負けるなんてことは。

 他球団ファンの皆さんはさすがに25年はないようちは、と思っているでしょう。カープほど暗黒時代を長くするつもりはないと。Aクラスに16年かけるかよ、と。

 地球には戻すすべのないスプートニクで実験のため宇宙に打ち上げられ死んだライカ犬、クドリャフカより自分は幸せなんだと言い聞かせて暮らす少年の物語、マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ。カープはそのライカ犬だ。かわいそうに思われる側だった。暗黒鯉カープよりうちはひどいことはない、と。

とりかえしついてほしいと思う人が世界中にいるのだきっと ©石田敦子

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