文春オンライン

2018年のベイスターズファンが、2006年5月10日の自分に会いにいく

文春野球コラム ペナントレース2018

note

暗黒期は、必ず終わる。

「あなたが見ているベイスターズ、残念だけどこれからどんどん成績が落ちていきます」
「え!そうなの?去年は3位だよ」
「かろうじて3位だったけど、2006年は残念ながら最下位。翌年からふたたび大矢さんが監督になります」
「えー!!牛島さん交代?」
「うん。2007年は何とか踏ん張ったけど、ベイスターズは長いトンネルに入る。長さは……青函トンネルくらい」
「日本一長いトンネルじゃん!」
「簡単にいうと、ベイスターズは俗に言う“暗黒時代”に入ります」
「暗黒時代……」
「そこは具合が悪くなるから手短に話すけど」
「具合悪くなっちゃうの?」
「100敗近くするシーズンが続く。もう何をやってもうまくいかない。選手のみなさんは一生懸命プレーしている。でも一旦狂った歯車は噛み合わず、モーター車がない電車のような状態になってしまう」
「モーター車がないと動かないじゃない」
「厳しいシーズンが何シーズンも続く。でもね、トンネルはちゃんと抜ける!キヨシ、そしてモーガンとともに」
「キヨシ?モーガン?」
「チーム名は横浜DeNAベイスターズになって、監督は中畑清さんだ」
「えー!?あのキヨシ?もう頭の中がぐちゃぐちゃだよ!」

信じられない。ハマスタが真っ青だ

「2012こそ厳しいけど、徐々に光が見え始める」
「ほう!」
「2013は最高に楽しい!モーガン・ブランコ・中村ノリ!」
「え!あの中村ノリがくるの??」
「2014もいい。筒香選手がブレイクする!」
「つ、筒香選手……」
「2015はね、おもしろい。前半首位ターンするけど、結局最下位!」
「それはすごいジェットコースターだ」
「2016、ラミちゃんが監督になる」
「えー!ヤクルトの?」
「そうか、まだヤクルトか。とにかくこの年にCS初出場だ」
「今はまだCSはパ・リーグしかないよ」
「そうかセは2007からか。とにかくベイスターズは2年連続でCSに出場し、2017には3位からなんと日本シリーズにいくんだ」
「すごいじゃない!2018は2位?もしかして優勝?」
「うーん、それが野球はそんなに甘くないね。4位だ」
「4位か……」
「でも、これを見てくれ」

2018年、満員の横浜スタジアム

「なんだこれは。信じられない。ハマスタが真っ青だ」
「こういう日が必ず来るから、あきらめず応援してくれよな」
「う、うん。わかったよ」

ADVERTISEMENT

 ここでスタンドが湧いた。試合は11回裏。気づいたらベイスターズは2アウト満塁の大チャンス。ここでバッターは石井琢朗。

 結果は……なんと押し出し!サヨナラ!!

「やったー!勝ったー!けど、押し出しか…」
「2000本は明日の第1打席に打つから早めに来た方がいいよ」
「もう全部言うなって!」
「ごめんごめん。とにかくベイスターズほど応援していて楽しいチームはない。これから厳しくなるけど、よろしく頼むよ!」
「厳しいって言われると困るけど……でも大丈夫だよ。少なくとも2018年までベイスターズファンで安心した。ありがとう」

 固い握手をして僕は2018年に戻ってきました。

 空いていようが混んでいようが、やっぱり僕はベイスターズが好きです。2006年も最高に愛おしいですし、1989年も大好き。もちろん1998年は文句なし。2018年も時間が経てばきっと意味のあるシーズンだったと思えることでしょう。

 あの頃のハマスタと今のハマスタ。そしてもっともっと前のハマスタ。瞬間移動で行ったり来たりしながら、僕はこれからもベイスターズを応援し続けたいと思います。

 そして来年こそは優勝して、2010年あたりの自分に会いにいくぞ!!

※「文春野球コラム クライマックスシリーズ2018」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/-/9271でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。

2018年のベイスターズファンが、2006年5月10日の自分に会いにいく

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春野球をフォロー
文春野球学校開講!