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「下克上グッズ」を身にまとい……そしてファイターズの2018年は幕を閉じた

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/10/18
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賢介選手で終わりならそれでいい

 結果としてファイターズは敗れ、埼玉への切符はホークスのものになりました。3人のピッチャーがCSの1試合ワーストタイの5本のホームランを打たれました。ファイターズはホームランとタイムリーが1本ずつ。守備の乱れもありましたし、投げられるピッチャーも残しました。最後はネクストバッターズサークルに控える清宮選手に回すことが出来ずに田中賢介選手のフライアウトで今年が終わったのです。

 でもその前の鶴岡選手がヒットで出て塁上で見せた少しの笑顔が本当によかった。鶴岡選手はファイターズとホークスを含めて7回も優勝してるから、なんとなく私たちは今年は鶴岡選手が優勝させてくれるような気がしていて、だから鶴岡選手が最後のバッターなら仕方ないなって思っていたところにヒットが出たので荒んだ気持ちが緩みました。

 それは賢介選手も同じことで、この人に今まで何度喜ばせてもらったんだろうって考えたら、賢介選手で終わりならそれでいい、と心で拍手。そんなこと言ったら、誰が最後になろうが必ずそれぞれに理由が湧いてきてこれでいいじゃないかって私は言うんだろうなと想像したら、ちょっとクスッとしたりして。

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 中島選手に代打が送られて最後はベンチの端に立ってグランドを見てる様子が切ないなとか、横尾選手がこんなに調子がいいのにこの先がないのはとても勿体ないなとか思ったりもしたけど、でもそれも全部仕方のないこと。

 もう今年は終わってしまったんだ……感情があっちに行ったりこっちに行ったり。
ほら、下剋上……って、やっぱり簡単なことじゃない。でも、順位が決まった後にそんな夢を見ることの出来る短期決戦は面白い、そしてあっけなくもある。

CSファーストステージ第3戦、最後の打者になった田中賢介

 あ、そういえば、マリーンズは2015年、札幌の合戦は勝利したけど、福岡では1勝もできなかったんだっけ。私のTシャツをネタに、そんなことを試合後にスタッフと話して、笑いながらつく大きなため息は、そんなに悪くないものでした。

 今年も走り切った、私たちスタッフも。ファンも立派に走り切った。だから私は毎年言う。チームだけじゃなく、自分にも「お疲れ様」って言うの忘れちゃだめですよ。

 勝手な夢のコラボ、3時間46分で終了。それが私の10月15日でした。

今年も走り切りました ©斉藤こずゑ

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