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オリックス継投のテーマ曲「calling」はなぜファンに愛されるのか

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/10/20

ヤツの上腕繰り出すスライダーとカーブ 英雄列伝 インに差し込む高めの速球はフェイク 豪腕calling

 BsSONGS4に収録の「calling」、この曲が産声をあげたのは2010年の事だった。我らがMEGASTOPPERのこの曲への思い入れは相当なものであるのだが、それは後述するとして、この曲を我々の代表作にまで押し上げたもの、それは間違いなく2014年のBs継投リレーだろう。

 誕生からHIT作に至るまで足掛け4年、遅咲きの曲だからこそ、息の長い、愛して貰える曲になったのだと今はしみじみ感謝している。

今季、リーグ2位の35セーブをマークした増井浩俊

リリーフ陣の質、量ともに他球団を圧倒

 2014年当時、Bsは岡田彰布元監督の提唱した「守りの野球」をまさに完成させようとしていた。先発投手は基本的に6回まで、7回に馬原、8回に佐藤、9回に平野、我々は何度この完璧な継投に魅せられた事か。仮に極致的なピンチを迎えれば0点男・比嘉のワンポイント・リリーフ、先発投手が計算外に捕まってしまった場合は岸田の登場と、リリーフ陣の強固さは当時間違いなく12球団1であっただろう。この継投戦術は現在でも受け継がれており、ロングリリーフなら吉田一将、セットアッパーは山本、ストッパーは増井、ケースに応じて近藤、黒木、澤田とリリーフ陣の質、量ともにBsは他球団を圧倒しているのでは無いだろうか。

 しかし、実はこの屈強なリリーフ陣に頭を悩ます事になる者も居る。頻繁に現地観戦する人はもうお気づきだろう。球場演出、ビジョン演出の担当者だ。いや、嬉しい悲鳴であるのだが……。何故? それはリリーフ投手の人数が増えると必然的に増えるもの、そう、投球練習があるからである。

 颯爽と登場テーマに乗って登場した投手が、そのままマウンドからバッターにボールを投じる事は無い。規定数以内の投球練習を実施した後にプレーの再開となるのはご存知だろう。また、イニング跨ぎで投手を交代する場合、最大2分45秒で試合を再開しないといけないという規定も設けられている。

 しかし、実はこの2分45秒というのがクセ者で、J-POPに換算すると2コーラス程の時間になる。恐らく、TVで放送する生演奏などは、もっと短い尺に纏められているだろう。

 無音でJ-POP2コーラス分を過ごすのはかなりシリアスだ。そう、演出担当者からすれば、観客に対して投球練習の間に楽しんで貰えるコンテンツ、且つ長短の自由な調整が出来るコンテンツが必要になるのである。両軍が継投戦術に出る試合終盤なら尚更の事だろう。

 そんな演出担当、ビジョン担当の思惑から白羽の矢が立ったのが「calling」だったのだ。長めのイントロ、派手な歌い出しの歌詞、確かにこれ以上演出担当者向きの野球ソングは無いだろう。華々しい好プレーの映像と歌詞がリンクしたビジョン演出により、この曲は一躍MEGASTOPPERの代表作となったのである。