昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載近田春夫の考えるヒット

ハロプロ20周年記念シングルの思いメッセージをどう受け止めるか――近田春夫の考えるヒット

2018/10/19

 『YEAH YEAH YEAH』(ハロプロ・オールスターズ)/『センチメンタルトレイン』(AKB48)

 ◆

絵=安斎肇

 ハロプロ20周年記念シングル発売とのアナウンスに思いめぐらす第一のものと申せば、やはり時の経つその非情なばかりの速さのことなのだろうけれど、一方――毎度毎度同じような感想で申し訳ないが――この界隈に限らず人気者たちの賞味期限も本当に長くなっちゃったよなぁと。かのビートルズでさえ、アイドルとして君臨出来たのはたったの数年であったのだからどなたか音楽評論家の方、あるいは我が国固有の現象なのかどうかも含め、そこいらの原因/事情について是非一度わかりやすく説明/分析などしてくださいませな。

 ま、そんな話題の続きはまたいずれということにして、『YEAH YEAH YEAH』だ。彼女ら節目の大イベントといっていい。この重要な意味を持つシングルに一体どのような作品があてがわれたのか? 正直、ミーハー的な好奇心もあったので聴くことにした。

 すると、まったくもって想像していたのとは違う世界が待っていた。ちなみに詞曲ともつんくである。クレジットには♂がつかないルールはなんだか紛らわしいね。

YEAH YEAH YEAH/ハロプロ・オールスターズ(アップフロント)作詞・作曲:つんく ハロープロジェクト誕生20周年記念シングル。

 話を戻そう。そもそも20周年の記念だし、それにタイトルからのイメージもある、私はてっきり、めでたい系というか明るいダンスものかなんかで来るんかいなとばかり思っていた訳である。

 それが、もうのっけから、

 ♪いじけちゃうのはなぜだろう/自分で思う/周りも楽しくないし/なんでだろう

 だよ。これでせめて作りがテツandトモでも意識してくれているんだったら、笑える、もとい楽しめたんですけど、なんかやたらネガティブな感じで推移してしまっていて、歌詞の一言一句とにかく重苦しいメッセージと受け止め、居住まいを正し拝聴するしかないという佇まい! なのだ。

 いやぁなにせあーた、

 ♪人間って小さい生き物なんだと思うよ/それでも生きるよ/生きなきゃね

 大テーマがコレですからね。

 こんな、もう絶対に超のつくマジメな表情以外で歌うのどう考えたってひんしゅくてか無理っつーのは、アイドルの20周年記念の歌詞としては、相当画期的な企画であることに間違いはないでしょう。

 そういった観点から眺めると、なかなか面白い作品だとは思うのだけれど、これ歌うアイドルの子たち、ついつい歌の世界に入り込んじゃっては日々のお仕事なんかになぞらえてしまって、気が滅入ったりしてしまわないように、そこだけはまわりのスタッフも気をつけてあげてないとね。

 しかし、かつてのハロプロといえば本当にノー天気な楽しさに満ち溢れていた気がするのだが、この歳月のなかで何が変わり、変わらなかったのは何だったのか、そしてここからどうなってゆくのか?

 今回のハロプロには色々なことを考えさせられましたよ。

センチメンタルトレイン/AKB48(キングレコード)作詞:秋元康 作曲・編曲:姫野博行 こちらも10年オーバーで活躍中。

 AKB48。

 こちらも決して明るい歌詞ではない。秋なんですかねぇ、この季節アイドル界も……。

今週の超宣伝中「この間の道玄坂の大人のパーティに来てくれた皆さん、有難うね! 力を入れたお弁当もことのほか好評だったのは嬉しいよ。やはり人間って食は大切だからさ」と近田春夫氏。「さて10月31日発売の38年ぶりソロアルバム『超冗談だから』。表題曲のMVがお陰様で完成したので、ぜひネットで検索して試しに見てくださいませ」