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年間200日旅する私が出会った「絶景の温泉宿」10選

年間200日旅する私が出会った「絶景の温泉宿」10選

『感動の温泉宿100』より

2018/10/21

genre : ライフ,

note

視線を遮るものが一切ない開放感が実現した

 もちろん、この絶景は男女別の大浴場の露天風呂でも楽しめるし、スパ&スイート棟の最上階にあるアクアテラスのソファーから寛ぎながら眺めることもできる。しかし、湯船で温泉に浸かりながら天空に浮かぶような気分を味わいたいなら、断然、スパ&スイート棟かプレミアム棟にあるマイ露天風呂付きのテラスルームの部屋がおすすめだ。

 露天温泉があるテラスには柵とか囲いとかいうものが一切ない。その代わりを果たしているのが水盤(すいばん)である。豊富な山の湧水を使って水盤を外部との仕切りにしている。テラスのウッドデッキと外の境に2mほどの水をたたえた幅があるために、外から侵入することができないようになっているのだ。この設計により、視線を遮るものが一切ない開放感が実現した。しかも、水盤はインフィニティになっているから鏡のように空や景色を映し出し、浴槽からの目線には、そのまま天空へと繋がっているように見える。ブラボー! と拍手したくなるデザインだ。

佐渡島まで見渡せるほど日本海も近い

温泉ビューティ研究家・旅行作家の石井宏子さん

 この宿へくるといつも、1泊では足りないなあと思う。理由のひとつは食事だ。やはり1泊目はメインダイニングルーム「ソルビエ」で正統派フレンチを優雅にいただきたい。銀食器はピカピカに磨き上げられていて、照明が灯ると雪の結晶が浮かび上がる。クラシックホテルの心意気溢れるディナーが味わえる。

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 そして2泊目は富寿し「蔵」へ。妙高高原は佐渡島まで見渡せるほど日本海も近い。6席しかない寿司カウンターで日本海の魚を楽しめる。

 もうひとつの理由は極上のスパにある。その名もヘブンリービューアーススパバイクラランス。スパルームからの眺めは、もちろん絶景だ。地平線が見渡せる場所で受けるスパトリートメントは至福を与えてくれる。わたしのお気に入りは「クラランス ル マサージュ」90分コース。とろけるようなクラランスのオイルを使い、セラピストの手、ひじ、腕を駆使した独特の手法が素晴らしい。1泊だとスパに2時間近く費やすのは忙しく感じるので、やっぱり2泊してゆとりの時間に受けたいと思ってしまうのである。