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最高のムードメーカー・新垣勇人 笑顔と野球の狭間で

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/11/03

 この季節は毎年心が大きく揺れる。シーズンの結果に、最初の戦力外に、コーチ人事に、ドラフトに、そして次の戦力外に、FAに。チームは毎年生まれ変わる。入ってくる人がいるなら、出ていく人がいる。わかってはいても、いつまで経ってもこの切なさに慣れることが出来ない。来季の契約は結ばない選手の発表は今年は5人。先月初めに発表されたのは大嶋選手、高良投手、そして先月末のリストには森本選手、大累選手、そして新垣投手の名前がありました。

 チームにはムードメーカーと呼ばれる人が必要です。札幌に住む私が一番最初にファイターズのムードメーカーとして認識したのは、エース・岩本勉投手でした。北海道では2004年の移転が正式に決まった時、日ハムの選手はがんちゃんしか知らないという人が少なくありませんでした。逆に言えば、がんちゃんの「まいど!」のフレーズは北海道のチームになる前から海を越えて野球ファン以外にも届いていたのです。
今もこの「まいど!」のフレーズはがんちゃんが2006年から解説者となられたことで毎日のように聞くことが出来ます。クリスマスにはディナーショーまでやってしまう、今や北海道のムードメーカーといってもいいかもしれません。

 新庄剛志選手の派手なパフォーマンスとオーラは、ムードメーカーというよりエンターテイナーだった気がします。森本稀哲選手や武田勝投手もチームの盛り上げにはかけがえのない存在でした。

ファンや選手を和ませていた最高のムードメーカー

 新垣勇人投手もファイターズのムードメーカーでした。SNSで発信する前は主にチームメイトに向けて発揮されていたその才能。現ドラゴンズの大野奨太選手のトークショーの司会をしたときに、「あの人、鎌ケ谷にいても一軍の僕らに自撮り動画送ってくるんですよ」と聞いて内容を聞くと、ネタの細かさとカメラワークの凝りように驚かされました。

 ラジオの企画では選手にこんな質問をしたことがありました。「あなたはファイターズの選手と二人でラジオ番組をもつことになりました。誰と組みたいですか?」、圧倒的に新垣投手が人気でした。試合前の一発芸も有名でした。日本一になった2016年は、6月中頃から7月にかけて球団記録の15連勝がありました。あの時もほぼ毎日試合前にチームを和ませたのが新垣投手でした。

 自分自身のTwitterやInstagramでもファンに抜群の動画や画像を届けてくれました。チームメイトが一緒に登場する企画も多くて、仲の良さも伝わってきました。私はひげダンスと、石川亮選手との焼肉コントが大好きです。ファンフェスでも主役級のはじけっぷりでした。昨年は直前にかかった結膜炎で欠席をしているのに、開会式のスクリーンには彼の自宅で撮ったであろう動画が流され、選手の笑いもファンの気持ちもあっという間にさらっていきました。

 人を笑わせることが出来る人は、とても頭がいいし、自分のことを客観視出来る人だと思います。だから、私は彼のパフォーマンスを見聞きするたび、ある言葉を思い出していました。

2016年のファンフェスティバルで一発芸を披露する新垣勇人