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太川 陽介
2014/10/01

太川陽介特別寄稿! 「路線バスの旅」の裏側

バス乗り継ぎができなくなったとき、まず地図で探す場所とは?

source : 文藝春秋 2014年10月号

genre : エンタメ, 芸能, テレビ・ラジオ, 社会

「やっぱり今日もバスに乗って来たんですか?」

 この1年くらい、どこに行っても、どんなロケをしていても、一般の方にそう声を掛けられてしまいます。

 2007年から不定期で放送されている旅番組『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』(テレビ東京ほか)。漫画家の蛭子能収さんと私のコンビに、毎回女性ゲストが「マドンナ」として加わり、3人で路線バスを乗り継いで、3泊4日の期限内に目的地到着を目指す番組です。

 そんなシンプルな番組がこのところ急に話題になり、今年(注・2014年)1月4日放送の第16弾では、各局の正月特番が並ぶ中、同時間帯で視聴率トップになってしまった。

とにかくガチンコ

 移動は路線バスのみで、鉄道、高速バス、タクシーなど他の交通機関の利用は禁止。路線バスのルートががらなければ、歩くしかありません。今年春の旅でも、うまくバスが繋がらず、4日間で30キロ近くも歩くことになりました。番組には毎回、膝にテーピングして臨むほどです。

 ひとたび現場に出れば、携帯やスマホ、ネットでの情報収集も禁止。観光地を巡ることもほとんどなし。とにかく、テレビでここまでやる必要があるのかというくらいガチンコなのです。

 過去17回の放送で12勝5敗。ルートは「新宿から新潟」「千葉・館山から福島・会津若松」など、地方に向かうことがほとんどです。

太川・蛭子の名コンビ

 年に何度もそんな旅をしていると、旅に出たからこそ分かることがあります。

 まず、目の当たりにするのは地方の路線バスの廃線が増えていることです。地元の人から「そこに行くバスは、昔はあったんですよ」という台詞を日に何度も聞きます。バス会社への行政からの補助金もカットされたこともあり、ここ数年でも多くの路線が廃止され、最新の道路地図を持参しても追いつきません。

 確かに、僕ら以外にバスの乗客がいないこともしょっちゅうですし、あきらかな赤字路線が多い。でも、田舎のお年寄りにとっては、いまだにバスはかけがえのない生活の足です。

 意外かも知れませんが、乗り継ぎのバスが途切れたとき、地図でまず探すのは大きな病院です。いまは鉄道の駅より身近な病院のほうがバスがある。それだけ生活に密着して存在している交通機関ということなのでしょう。

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