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新大久保、高田馬場、西葛西――続々と東京に生まれる外国人街の実態

新宿区は新成人の半数が外国人に

2018/10/23

genre : ニュース, 社会

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「カオス都市」東京の魅力

 増加スピードが上がっている在留外国人だが、彼らは東京のどこが気に入っているのであろうか。理由はいくつか考えられるが、おそらく東京は日本のいろいろな地方からいろいろな考えを持った人たちが集まるという、日本の中のある意味「カオス都市」だからというのが大きな理由ではないだろうか。

 東京はとにかく懐が広い。たとえば新宿の歌舞伎町周辺でもあらゆる人種が普通に交流できる。真夜中に町中を歩いていても襲われる心配は少ない。とりわけ東京はコンビニエンスストアがいたるところに存在していて、食べるものには困らない。日本人の若者はどんどん減少し、外国人であってもえり好みさえしなければ仕事はいくらでもある。シンガポールを除く東南アジア諸国の人たちであれば数年頑張れば、母国に戻ってかなり良い暮らしができるだけの蓄えを作ることも夢ではない。

ベトナム人の技能実習生 ©時事通信社

不動産が自由に買える

 鉄道が発達していることも彼らが東京を愛する大きな理由のひとつだ。複雑な交通路線網を持つ東京だが、マスターさえすれば車を買わずとも、どこにでも電車やバスを使って自由に出かけることができる。

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 少しお金に余裕のある人ならば、日本の不動産を自由に買うことも許されている。日本の不動産は世界的にも所有権が異常なほど守られていて、東京であれば、テナント付けも難しくなく、ある程度の利回りが確保できるからお得だと彼らは考えている。

  また東京には四季があって、街中に緑が多く、自然が美しいのもお気に入りだ。アジアの多くの国々では雪を見たことのある人は少ない。私の知人も、私が東京のどんなところがお気に入りかと聞いたところ「冬があって雪が見られること」と真顔で答えていた。実は日本に観光でやってくる台湾や中国、東南アジアの人たちはユニクロのダウンジャケットを着て冬の東京を歩き回ることは結構楽しいのである。

新宿区は新成人の約半数が外国人

 東京の街には今、彼ら外国人が、否応なしに生活の一部として溶け込み始めている。外国人街は、日本人と生活の習慣や価値観が異なるために、生活上でのトラブルを嫌って敬遠する向きが多い。しかし、すでに50万人を超える外国人が東京に住んでいるという現実と我々は向かい合わなければならない。新宿区や豊島区に至っては2018年の新成人のうち新宿区では45.8%、豊島区では38.3%が外国人なのだ。また新宿区の大久保や豊島区の池袋の一部エリアでは20歳人口の大半が外国人でカウントされているという驚くべき実態を多くの日本人は知らない。

「カオス都市」を象徴する新宿 ©iStock.com

 そういえば、最近スポーツ観戦していてもダルビッシュに始まり、ケンブリッジ? サニブラウン? オコエ? 違和感を抱く人もいると聞くが、よいではないか。米国なんて行けば、人種のるつぼ。いちいち何人なんてかまっている場合じゃない。純血に拘っていても世界では勝負できない時代になっているのだ。大坂なおみの頑張りにみんな拍手を送ったではないか。日本にもハイブリッド化の時代が到来しているのだ。

新大久保、高田馬場、西葛西――続々と東京に生まれる外国人街の実態

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