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50歳を超えてもがんにならないために、野菜や果物は皮まで食べよう

2018/11/15

欧米化した食生活の改善、それががんにならないための第一歩だ。医師の南雲吉則氏が勧める、長く健康でいられる食事法とは。

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 50歳を超えてもがんにならないための具体的な方策について、まず伝えたいのが「食生活」です。これまでも、欧米化した食生活の弊害については話題に出てきましたが、ここで「食生活から考えるがん予防」について、より詳しく説明しておきます。

 かつて私は『抗がんサプリメントの効果と副作用 徹底検証!』(三省堂、2005年)という本を出すことになり、ありとあらゆるサプリメントについて調べたことがあります。がんの専門医として日々患者さんと接するなかで、手術、抗がん剤、放射線治療のいわゆる「三大療法」以外で何か有効な取り組みはないものかと考えていたのです。

 そこでがん予防に効果があるといわれる様々なサプリメントについて、海外の論文を含めて徹底的に調べたのですが、残念ながら効果のあるものは一つもないことがハッキリしたのです。

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 これには私自身が大きなショックを受けました。これだけ数多くの種類のサプリメントが出回り、数多くの人たちが利用しているにもかかわらず、どれ一つとしてがんの予防効果を立証できるものがなかったのです。

「皮」の重要な働き

 一方、サプリメントではありませんが、がん予防に有効性が認められた食べ物がありました。「新鮮な野菜と果物」です。サプリメントがダメでも、野菜や果物を上手に食べていくことで、効果的ながん予防が可能なのではないか、と考えた私は、さらに調査にのめり込んでいきました。

 この調査でわかったことは、野菜や果物で最も重要な働きをしているのは「皮」だということ。端的に言ってしまえば、皮を食べなければ意味がない――ということなのです。

 野菜や果物の皮というのは、実を外界から守るためのバリアです。例えばリンゴの皮をむくと茶色く変色します。これは実が酸化して起きる現象。皮があると酸化しないということは、皮に「抗酸化作用」があることを意味します。

 皮の効用はまだあります。木になっているリンゴを鳥がつついたりしても、そのキズは自然に修復されて、きれいな皮が張ります。これは、「創傷治癒作用」があるということです。

 さらにもう一つ。皮があることで外界のばい菌やカビなどが内部に侵入していくことも防いでくれます。つまり「抗菌作用」です。

 喫煙によって発生した活性酸素の働きを抑え込む「抗酸化作用」。タバコやアルコールなどの刺激物が作り出す粘膜のキズを修復してくれる「創傷治癒作用」。胃がんや肝がん、子宮頸がんを起こす菌やウイルスの感染症を阻止する「抗菌作用」――。いずれも放置すればがんに進展していく危険性の高い因子を、野菜や果物の皮の有効成分がブロックしてくれるのです。