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がんにならないための運動は「第2の心臓」と「ノンエクササイズ」で

2018/11/22

 食生活と並んで、がん予防の大きな柱となるのが「運動」だ。だが、ただ汗をかけばいいわけではない。日常生活にエクササイズを組み込もう――。これが医師の南雲吉則氏が勧める理想の運動法だ。

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 50歳を超えてもがんにならないための取り組みとして、「食生活」の他にも重要な生活習慣があります。今回はその一つ、「運動」について考えていきましょう。

 がん予防を考えるうえで、なぜ運動が関係するのか。それは、がんと肥満が密接な関係にあるからです。

 肥満による血中コレステロールは、性ホルモンである副腎アンドロゲンの原料となり、性ホルモン依存性の乳がん、子宮体がん、前立腺がんの罹患率を上昇させます。また脂肪肝は肝硬変、肝がんに移行しやすいのです。

 がんにならなくても、内臓脂肪が多い人はメタボリックシンドロームと呼ばれ、心臓病、脳卒中、糖尿病の危険群です。

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 こうしたことを背景にして、生活習慣として運動を取り入れることで、がん予防につなげていくことの重要性が指摘されるようになってきました。

生涯の心拍数は20億回

 とはいえ、普段運動をしない人、特に肥満の人が突然激しい運動をすると、「心臓」と「脚の関節」に大きな負担がかかってきます。

 心臓の細胞は医学的に「終末分裂細胞」とよばれます。これは子供の頃にすでに臓器として出来上がっていて、傷口を細胞分裂で修復する機能を持ち合わせていません。心筋梗塞で傷ついた心臓は、移植でもしない限り治すことができないのです。

 さらに心臓が生涯で打つ心拍の回数はおよそ20億回と決まっています。これは人間に限らず、ゾウもネズミもあらゆる動物で20億回なのです。

 心拍の回数が同じなのに寿命に差があるのは、心拍の速さに違いがあるからです。心拍の速いネズミは、先に20億回を打ち終わってしまうので寿命が短いのです。

 ということは、心拍の速い人は、遅い人より短命になると考えられます。以前はスポーツクラブに行くと、「心拍数150以上を維持した運動を一時間」などと指導されました。が、中高年や肥満傾向の人には、おすすめできません。