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連載近田春夫の考えるヒット

秋元康、児玉雨子、のんが参加したオレのソロアルバムに自信あり――近田春夫の考えるヒット

2018/11/07

『超冗談だから』(近田春夫)

絵=安斎 肇

 はたして自身の作品を取り上げてよいものなのか、逡巡のなかったわけでもないが、今回編集部の御厚意を素直に受けとめようと決めたのにはふたつ理由がある。もっともらしく且つ簡単に書けば、それは「自信と責任」である。

 自信は自負といい換えてもいい。これはどこに出しても恥ずかしくないCDと――この謙虚な俺が――断言出来るだけの仕上がりにはなったなと。であれば読者諸兄にその内容の素晴らしさを伝える責任――こちらは義務と同義になるだろうか――が俺というより当「考えるヒット」欄には生ずるのではあるまいか?

 ……と、まぁまぁ色々皆様方におかれましては、ご意見(そんなの屁理屈じゃんさ! とかね)もおありでございましょうが、ここはひとつ。固いことなどおっしゃらずにお付き合いくださいませな。

 そうだ。責任という意味でもうひとつ付け加えるならばアルバム『超冗談だから』で起用の作家、その陣容については触れずばなるまい。

 実は、全10作品のうち6曲にて作詞をお願いした児玉雨子さん、そして詞曲の提供に加えて、ロックギタリストとしても制作に参加してもらったのんさん。お二方ともども、そもそもの出会いはこのページだったのである。それぞれの作品に触れたとき、それぞれが大変に豊かな才能の持ち主であることに感銘を受け、それがずーっと心に焼き付いていた。この自分のソロアルバムの企画が持ち上がったとき、まず、真っ先に是非一緒に仕事がしたいと、まったく面識もないなか、ディレクターに連絡をお願いした経緯があっただけに、仕上がってきたどの表現も、それこそ超の付く素晴らしいものばかりなのを目の当たりにし、俺は感無量の思いであった。

超冗談だから/近田春夫(ビクター)当コラム執筆者が『星くず兄弟の伝説』(1980)以来、38年ぶりに発売するソロアルバム。秋元康や児玉雨子が作詞で、のんが楽曲とギター演奏で参加。ムード歌謡、ラテン歌謡、アイドルポップス風、往年の名曲セルフカバーなど、バラエティ色豊かな全10曲を収録。作品中随所で炸裂するビブラートも堪能のしどころ。

 無論、そうした結果には当然の自信を持ってはいたものの、毎週毎週このページで偉そうなことをほざいている人間としては、人選にミスは許されぬ。外せばこれまでの原稿の信憑性にもことが及んでしまい兼ねないだろう。それこそ責任問題! である。

 二人に白羽の矢を立てた俺の見識もまんざらのものではないぞと、今はそんな気分だ。

 そして秋元康であるが、前から俺がCDを出すのなら必ず作詞をするよといってくれてはいたものの、ご承知の通りの多忙を極めるスケジュールに、いくらなんでも無理かなとも思っていたらば二つ返事で引受けてくれたのはホント嬉しかったよ。ありがとう。

 その、書いてくれた『ご機嫌カブリオレ』の、このしなやかさ軽やかさを兼ね備えた語彙の応酬! こそ流石、秋元康の真骨頂と言えるだろう。

 さてところでこのアルバムの聴きどころだ。ひとつはハッキリいって俺の歌いっぷりにある。きっとその67歳とは思えぬ若々しき喉(笑)にはマジ度肝を抜かれる筈だ。

 あと、一曲だけ俺が詞曲を書いているのだが、その出来栄えもなかなか見事なものなのでは? それを最後に付け加えて、今週はこの辺で!

今週のキノコ「マツタケって、人工栽培できないってことで高価だったけど、味も香りも似た近縁のキノコがついに人工栽培できるようになったんだって。その名もバカマツタケ。そのうちスーパーに“バカマツタケ”がいっぱい並ぶんだろうね」と近田春夫氏。「奇妙に感じるのも最初だけ。みんなが“バカマツタケ”と言いあってる将来が楽しみです」