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連載近田春夫の考えるヒット

日本仕様の韓流アイドルSF9 “非童貞感”が控えめになった?――近田春夫の考えるヒット

2018/11/21

『Now or Never -Japanese ver.-』(SF9)/『Defiance』(ジェジュン)

絵=安斎 肇

 一体いま現在、どれほどの人数の少年少女(?)が韓国からアイドルとして来日を果たしている、あるいは行き来をしているのだろうか? そしてその売り上げ総額や、日韓での儲けの分配/比率といったことはどんな塩梅になっているのか? もはやそんなことを思うことさえないほどに“kpopのある風景”は、我が国の日常の景色と化してしまっている。

 ただ、当初のいわゆる“ブーム”だった頃を思い起こし、比較をしてみると、いつかしら何かディメンションのようなもののスライドしてきている感はいなめないでもない。

 安定期といえばまさにその通りなのだが、一攫千金の大ヒットを狙うというよりは、手堅いところで着実に稼ごうとしている作品が一層増えてきたようにも見受けられるのだ。新譜の持つ意味合いも大分変わってきたのではないか?

 一言でいうのなら、プロデュースにおいて冒険/主張をあえてあまりしなくなった。

 今週の二枚を聴きながらまず感じたのはそのことだった。

 もうすこし具体的にいえば、日本のマーケットが彼等韓国系男性アイドルに求めているものを率直に提供する、という姿勢のことである。

 では何を求めているのか? ひとつには声質/発声法というのはあると思う。いままでのkには共通していて、そしてjにはあまり見られなかった部分をあげれば、“スモーキーさ”とでも申そうか、たといそれが少年の歌い手だとしても、日本の――ジャニーズ系を思い浮べていただければ分かると思う――男性アイドルの声のように、ただツルっと爽やかなだけではない。うっすらとにせよスモーキーだったりした。どこか大人っぽかったのだ。

Now or Never -Japanese ver.-/SF9(WARNER)SF9は「Sensational Feeling 9」で、世界を驚かすグループという意味だそうです。

 それが、このSF9の新曲、『Now or Never』などを聴いていると、述べた意味での“非童貞感”は随分控えめに抑えられて、いってみれば“実年齢より若い印象”の歌唱になっている。以前のようにはパッと聴いてすぐ、jかkか読めるような、そんな歌いっぷりではなくなっているのである。

 このページのために、それなりにkpopも聴いてきたこの俺が、男性アイドルの声に思うところの「jpopにあってkpopになかったもの」とは、とどのつまり“子供っぽさ”すなわち純潔性である。

 今回のSF9をそういった視点で聴くと、まるで和物のようにちゃんと“可愛らしい”歌声で、大人の男の部分は全く封印されてしまっている。

 とにかく、らしさというのであれば、しばらく前の韓流に比べたらこの歌、kらしさ(エグ味ですかね?)が相当に薄れてるな、というのが俺の素直な感想であるが、そのあたりは、韓国国内で流れる本場モノと聴き比べをすると(ネットとかでね!)よーくわかると思うので、興味あるヒトはおヒマな時にでもチェックしてみてくださいませな。

Defiance/ジェジュン(First JB Music)もと東方神起メンバーで、現在はソロで活躍するジェジュン。本曲は日本勢による楽曲提供。

 ジェジュン。

 作詞に森若香織の名を発見して、ちょっとビックリした。

今週のPR「先日出したオレのソロアルバム“超冗談だから”、おかげ様で各方面から好評の声を聞かせてもらっています。久しぶりにいろんな媒体でインタビューとか受けたよ」と近田春夫氏。「文藝春秋のでは、CREA WEBでこの間からはじまった連載“近田春夫が語る近田春夫”がタダで読めるから、興味ある人はネットで検索などしてみてね!」