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「箱根駅伝はどうせ青学でしょ」と思っているあなたに送る「勝敗以外の楽しみ方」

2018/11/17
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中央・舟津の腕に不思議な文字が……

 次に注目したいのが中央大学・舟津彰馬選手の「腕文字」です。

 2016年の予選会で、1年生ながら中大のキャプテンを務めた舟津選手が、予選会を突破できず涙ながらに挨拶をしたのを覚えているでしょうか? 僕はあのとき、たまたま目の前で見ていて、それ以来、彼を追いかけています。

 今年の予選会で彼の腕に文字が書かれていることに気づきました。どうしても気になって確認したところ、「焼肉!」でした(笑)。どうやら予選会のために焼肉断ちをしていたらしいんです。それで思い余って「焼肉!」と。

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 しかしこれも単なる笑い話ではなく、「腕文字」の役割というものを考えさせられるできごとでした。腕に文字を書くというのは、もともと東洋大学の専売特許で「その1秒をけずりだせ」とか「怯まず前へ」とか書かれているのは有名です。

腕文字の先駆者、東洋大学の選手 ©EKIDEN News

 そしてこの腕の宣伝効果に、メーカーが目をつけはじめているんです。出雲駅伝で撮られた腕文字の写真が、ナイキの広告ビジュアルにも使われていました。もはやウエアやシューズだけではなく、選手の腕が広告として機能する時代なんですね。そんななかで、舟津の「焼肉!」というまっすぐなメッセージは一層際立っていました。「牛角」が広告を出してもいいくらいです。箱根では選手たちの腕にも注目してほしいですね。

“28分台祭り”拓殖大の「岡田マジック」がすごい

 今回、チームとして注目しているのは拓殖大学「岡田マジック」です。日体大記録会の10000mで3人の選手が突然28分台を出して、これで計4人の選手が28分台の記録を持っていることになりました。

 出雲駅伝では、ワークナー・デレセ・タソ選手が区間賞を獲得。地味ながら確実に力をつけてきていて、なんだか「がんばれベアーズ!」みたいなムードが漂っています。岡田正裕監督は、以前亜細亜大学を突然優勝に導いたことから、「岡田マジック」と呼ばれています。今年、拓殖大学は全日本大学駅伝にも出ていないので、箱根駅伝に照準を合わせてきているはず。この岡田マジックが今年、発動するんじゃないか、という期待が高まります。どうしても青学、東洋、東海ばかりに注目が集まりますが、駅伝ではどこかの区間で突然ヒーローが出てきたりするんです。そういうのも箱根の面白さです。