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民泊ビジネスの光と陰 普及の鍵は住民との共存だ

2019年の論点100

2018/12/01
『文藝春秋オピニオン2019年の論点100』掲載

 2013年頃から日本国内でも、じわじわと存在感を増してきた民泊仲介サイト。中でも、最大手の米「エアビーアンドビー」(以下、エアビー)は、掲載数が全国で6万2000件にまで達し、2020年に五輪を控える東京都だけでも2万1200件が民泊登録されていた。

 しかし、2018年6月15日、民泊新法が施行され、国内の約8割の物件が消滅。事前予約していた外国人旅行者は一時、大混乱をきたした。国内外で「ゲスト」と「ホスト」両者から反発の声が上がる中、エアビーが1000万ドル(約11億円)の基金を設立し、強制キャンセルされた顧客への対応を行った。

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 実は、私もゲストとして、欧米や日本でエアビーを最大限に利用している。これまでに、スイス、フィンランドなどで、何度か民泊を体験してきた。なぜ私は、ホテルだけでなく、エアビーも選択するのか。その理由は、主にふたつある。

(1)一般ホテルよりも割安であるから
(2)地元民との交流を楽しめるから

 まず、(1)については、ホストが価格を設定できるため、ホテルよりは安く提供されている。ジュネーブやヘルシンキのホテルは、日本人感覚からしても、世界水準をはるかに超える金額。かといって、郊外の割安なホテルを予約するくらいなら、中心地にあるエアビー物件に泊まる方が、部屋も大きく実用的なのだ。

 次に(2)にだが、私はバックパッカー専用の宿を好む時代があった。見ず知らずの旅行仲間たちと戯れ、文化交流をすることで外国の旅を満喫した。エアビーの宿泊は短期のホームステイに等しく、地元民であるホストと交流ができる。一緒に町中を歩いて食事をしたりすることも可能だ。それも旅の醍醐味だといえる。

 ところが、メリットばかりではない。エアビーがもたらす社会問題が、ここ数年、各国で注目を浴びている。