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食べログを超えた、使えるグルメ情報はなにか

食のプロが明かすおいしい店発掘術(2) 大崎裕史×伊藤章良×子安大輔

genre : フード, グルメ

──食べログのトップレビュアーの影響力って、実際にはどれくらいあるんでしょうか。人気トップレビュアーが高評価をつけた店は短期間で一気に点数が上がったりする、という話もあるようですが。

大崎 あるとき、もうちょっと点数がよくてもいいはずなのになあ、と思うラーメン店を調べてみたことがあったんです。やはり、有名なトップレビュアーが厳しい点数をつけていました。この店だけじゃなくて、彼が厳しい点数をつけている店は軒並み下がっている。

 そのとき、トップレビュアーが厳しい点数をつけると思いっきり総合評価が下がってしまうというのは、いくらなんでも彼らに影響力を持たせすぎではないかと思いましたね。

子安 それに関しては、食べログの運営側も、これまで飲食店側への配慮があまりにも足りなさすぎたと反省しているようですよ。点数が0.5下がることによって店側が被る損害についてもっと想像力を働かせるべきだったと。だから、食べログのアルゴリズムも変わる可能性はまだまだありますよね。

食べログのトップ画面

大崎 その逆で、だれかがいい点数をつけると、周囲が釣られていい点数をつけるから、点数がどんどん上がっていく傾向もあるんですよね。

 ラーメン業界にはかなり前から語り草になっている話題があります。かなり前に出版されたんですが、石神秀幸君が協力した漫画『ラーメン発見伝』(漫画・久部緑郎、原作・河合単、協力・石神秀幸)で登場人物のラーメン店主が「ヤツラはラーメンを食べているんじゃない。情報を食べているんだ」と言うシーンがあるんですね。

 そのセリフを読んだ時は、我々ラーメン評論家が批判されているとかなり悔しい思いをしたんですが、それから10年以上経って改めて振り返ってみると、まさにその通り。料理じゃなくて情報を食べている人たちがたくさんいるという気がしています。

──鮎の煮干し出汁のラーメンでは売れなかった店主が、ニンニクを揚げた牛脂を加えた濃口ラーメンで儲ける話ですね。

 鮎出汁のうまさはわからないのに、本来は鮎の風味が消えている牛脂の出汁のスープを飲むと途端に鮎の香りがわかると言う客が多いと嘆く店主が印象的でした。

大崎 逆にいうと、食べログで4.5の店に行って、あまりおいしくないと感じても、そう言うのはなかなか難しくて勇気のいることにもなっている。自分も高い点数をつけないと自分のレビューの価値を疑われてしまうんじゃないかと怖くなる部分があるんじゃないかと思うんです。

 つまり、料理が美味しいのか、美味しくないのか、正直にいえばわからない人もけっこういるんじゃないかと思うんですよ。で、そういう時は、とりあえず自分が信頼しているレビュアーがつけたのと近い点数をつける。

伊藤 ははは、大半はそういう人たちなんじゃないですか?

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