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高学歴高収入女性が「選択的愛人」として生きる理由

「愛人の品格」――#1

2018/12/02

 Bランクの男に本妻に選ばれるくらいなら、Aランクの男の愛人でいる。

 これは34歳の女性コンサルタントが渋谷キャストに入っているザ・リゴレットで、お皿に残ったデザートのソースを、名残惜しそうにフォークで撫でながら言っていた言葉だったと思うけど、彼女とはここ10年以上結構色々なところで食事をしているし、大体は後半になると酔っ払っているので、正確な記憶かと言われると微妙に違うかもしれない。いずれにせよ、彼女は自分がちょっと手を伸ばせば婚姻届くらいは取りに行くであろう男の多くをBランクだと主張し、自分がカレシと呼ぶちょっと名の知れた経営者をAランクの男と認識していた。

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なぜAランクの男の本妻になるという選択肢がないのか

 長年彼女と彼女の愛し方を間近で見てきた身としては彼女の言い草は結構的を射ているのだが、よくよく考えれば変なのだ。なぜAランクの男の本妻になるという選択肢がそこにないのか。そもそも上智大卒でカナダ留学も経験し、学生時代にラウンジで人気を得るくらいには結構美人で、父は東北で県庁勤め・母は音楽教師という家柄は、ものすごく特殊な運命に導かれなくとも、別に彼女のカレシレベルの、つまり権力と財力が十分にある男と結婚するというのは、非現実的な選択肢ではないような気がする。

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 ただ、そこには彼女なりのロジックがある。彼女の持論は、「女でも、現代的な意味で正しい道を必死で生きていると、気づいたら30歳は過ぎている」。曰く、学生時代に若さの勢いに任せて初体験の相手と結婚するか、よほど結婚を強く望むという特殊能力があるか、よほど強力に結婚を勧める協力者(母親など)がいるか、切羽詰まった理由があるかでもしない限り、結婚を自分ごととして考えることはない。したいとかしたくないとか以前に、いつかするかも知れないけど今のところは自分から遠いものとして思いっきり漠然としているし、手持ちの彼氏との想像できる未来よりも、自分の未来はもう少し可能性に溢れて見えている。