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連載テレビ健康診断

NHKの朝にふさわしい仕事ぶりだ『あさイチ』――青木るえか「テレビ健康診断」

『あさイチ』(NHK総合)

2018/12/03

『まんぷく』を見るようになったおかげで余禄が生じた。『あさイチ』の視聴である。

「朝ドラ受け」というのがあって、今終わったばかりの朝ドラの感想をオープニングで喋ったりする。こういうのは下品なことだと思う。最近は朝ドラ前ニュース終わりで「萬平さんはどうなったでしょうか」みたいな「朝ドラ送り」まであったりして、調子に乗るんじゃない。どんな人気番組だって別番組には知らぬ顔をする無情のNHK、その矜持を忘れるなよ。

『あさイチ』、前は有働アナと井ノ原快彦で、ゲストが不用意に反動的なことを言ったりするとイノッチがビシリと指摘する、とかで評価が高く、四月のメンツ入れ替えには不安と不満が囁かれたもので、その後どうなってるのか気になってたが忘れていた。それが『まんぷく』効果により確認することができたのである。

 イノッチの後がまが博多華丸・大吉。発表された時には驚いた。福岡に住んでた頃、“地元芸人”としてローカル番組にバンバン出てるのを見ていて、「生涯福岡芸人」なのかとばかり思ってたら全国の朝の顔に。いったい何を見こまれたのか。

博多華丸・大吉 ©共同通信社

 なんてことも忘れていて、朝ドラ受けにつられてしばらく見ているうちにわかった。華丸・大吉、ミョーに暗い。陰気ということではなくてルクスが低い。スタジオ収録の情報バラエティは照明キンキンですが、華大のふたりがふっと立って、ふっと語ると、スタジオがふっと暗くなる。でもそれ、決して不快ではなくて、いい感じで落ち着くの。

 朝ドラ受けにしても、有働さんなんかがやるのは「やけにはしゃいでみせる」感があってつらい気持ちをいや増したものだが、華大、とくに華丸の受けはボソッと吐き捨てるような、受けというよりはツッコミ、それもぬるま湯を浴びせつつ気持ちよくさせるようなツッコミ。朝ドラ受けということの恥ずかしさも引き受けた上で「ここは恥ずかしいからちゃんとツッコミますよ」という仕事を、さりげなくきちんとやってるので、朝ドラ受けの好きな人も、眉をひそめる人も、双方を満足させる。番組でゲストの話を聞いてる時とかも全体に暗くてぬるい(こう書くとすごく印象悪いが、ちがうんだ)。NHKの朝にふさわしい。

 しかし福岡で見てた時はこんなんじゃなかった気がするんだけど、華大。こういう資質をわかった上で朝の顔に抜擢したんならNHKスゴイ。

▽『あさイチ』
NHK総合 月~金 8:15~9:54
http://www1.nhk.or.jp/asaichi/

出典元

日産「極秘チーム」 ゴーン追放「一年戦記」

2018年12月6日号

2018年11月29日 発売

定価420円(税込)