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「1分で話せ」 プレゼンや報告はとにかく短い方がいい

『1分で話せ』(伊藤羊一 著)――ベストセラー解剖

2018/12/05
note
『1分で話せ』(伊藤羊一 著)

〈この商品はお客さんが絶賛していました。販売店も受注に前向きです。実際に数字も上がっています〉

 この報告が伝えたい内容は、本書にしたがえば、こんな一文に修正できる。

〈この商品は増産すべきではないでしょうか〉

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 修正後の方がわかりやすく、人の心にまっすぐ刺さる。こうした実例を見せつつ、人に何かを伝える際の考え方の根底にあるものを端的に示した本が人気だ。

「プレゼンや伝え方の教科書は大量に書店に並んでいますが、『短く話す』ことに焦点を絞った本は、近年あまり見かけない印象がありました。そこを狙いつつ、著者が長年の社会人経験で培ってきたコミュニケーションの基礎をあらためて整理しました」(担当編集者の多根由希絵さん)

 伝える相手の属性を考え、プレゼンのゴールを設定し、根拠を示す。根拠は3つ用意し、結論には一度耳にしたら忘れないような「超一言」を用意する……シンプルで、力強いノウハウが詰まっている。書名や本文の構成が、まさに本書の考え方を実践したかのような作りでもあり、口コミで支持を増やしたのも納得だ。

「会社のリーダークラスの方や、経営者の方がまとめて購入されて、部下のみなさんに配ることもよくあるそうです」(多根さん)

 読者の4割は女性、しかも20代女性の率が類書に比べて高い。硬質だが洗練されたデザインも、読者の間口を広げたようだ。

2018年3月発売。初版5500部。現在17刷21万部

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