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現役引退・ホークス城所龍磨が教えてくれた“待機する男”の生き方

文春野球コラム ウィンターリーグ2018

2018/12/03
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ダグアウトの裏側で城所がやっていたこと

 ベンチで出番を待つ。待機と言ったが、もちろん待ちぼうけて座っていたわけではない。長い間ずっと特別な役回りを務められたのは、準備を絶対に欠かさなかったからだ。

 だから城所は頼れる選手だった。

 球場スタンドから見えない、テレビ中継にも映らない試合中のダグアウトの裏側。中盤を迎える頃になると、空いたスペースを見つけてはストレッチを始めるのが常だった。出番を察すると通路を何本かダッシュする。いつ名前を呼ばれてもその瞬間に100%の力を出すためだ。城所にとってはそれが当たり前の事だった。

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 だから先輩に可愛がられた。

 引退会見では松中信彦氏が花束を持ってやって来た。トライアウトの前には川﨑宗則氏が練習のパートナーを務めてくれたという。後輩にも慕われ、やはり引退会見では福田秀平外野手も労いの花を手にして駆け付けた。

城所龍磨の引退会見(左は松中信彦氏、右は福田秀平) ©田尻耕太郎

 そしてホークスファンにも深く愛された。

 普段の言動から実直さが伝わっていたのもあるだろう。あのムネリンが可愛がる後輩だからすごくいいヤツに違いないと感じたファンもいたかもしれない。

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