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2018年のスワローズをスポーツ紙の見出しで振り返る【後編】

文春野球コラム ウィンターリーグ2018

2018/12/09

 今年1年間の激闘が収められた3冊のスクラップブックも、ようやく2冊目の半分くらいにさしかかる。7月20日の中日戦では、ルーキー・大下佑馬の笑顔写真とともに、「プロ初勝利 ドラ2大下」、翌21日には「川端プロ初サヨナラ弾」、そして22日には「山田V22号」と続いて、片隅に小さく「単独3位」の文字が掲載されている。ちなみに、20日は「ビール半額デー」で、21、22日は「TOKYO燕プロジェクト」が開催された。球場全体が緑に染まった神宮3連戦。ホントにビールがおいしかった。

夏のヤクルトは「バレヤマダン」と、「エムトー・ソシトー」

 中日に3タテを食らわせた後も快進撃は続く。倉敷の巨人戦では「山田 4戦連発!5発!」、場所を京セラドーム大阪に移してからは「バレ逆転23号!!5連勝」、続いて一面で「ヤ6連勝の中心 山田」ときて、「バレヤマ弾・ヤクルト7連勝」と、破竹の勢いで、ついに5割復帰。「バレヤマ弾」とは、音の響きで読ませるだけのフレーズ(笑)。それにしても8月を目前にして、まさかこの位置にいるとは思いもしなかったよ! 7月終了時点で43勝45敗1分。なかなか貯金ができない状況ではあったけれど、それでも単独2位をキープしていた。

 ここで、今季のターニングポイントの一つと言っていい試合が訪れる。8月2日、神宮球場での対広島戦。原樹理が、先発としての初勝利を挙げ、「原樹理CのM灯阻止投」の文字が躍った。もしもこの試合で敗れていたら、8月上旬で早くもカープにマジックが点灯するはずだったのだという。やっぱり、カープは独走していたんだな……。改めてその強さに愕然とする思いだ。それにしても、スポーツ新聞特有の言い回しは面白い。「マジックが点灯する」という意味で「M灯」というのは理解できるけど、「M灯阻止投」と言うのか。「エムトー・ソシトー」と読むんだろうけど、こちらもまた音の響きだけで読ませるフレーズだ。

音の響きだけで読ませるフレーズ「M灯阻止投」 ©長谷川晶一

禁断の果実・つば九郎への執筆依頼

 さて、8月に入ると「ひょっとしたら、クライマックスシリーズ(CS)進出もあるかも……」という思いが、僕の頭の中で頭をもたげてくる。と同時に、文春野球においても昨年に続いて、プロ野球死亡遊戯氏率いる巨人の独走状態が続いており、「ヤクルトが頑張っているんだから、オレも頑張らねば!」という思いがムクムクと湧き上がってくる。とは言え、昨年は、巨人相手にまったく歯が立たなかったため、自分の実力はよく理解していた。そこで、「オレの力では勝てない」と即座に判断。ここで、僕はかねてより温めていた秘策にして、禁断の果実に手を出す決意をする。

(つば九郎を文春野球にスカウトしよう……)

 鳥類に原稿を依頼することはルール違反ではない。文春野球のルールに抵触しないことは理解していたけれど、「いくらなんでも、つば九郎に頼むのは反則だよな」とのためらいから行動に移すことはなかった。しかし、ヤクルトナインが、独走するカープに必死に食らいついている姿を見ているうちに、「なりふりかまっている場合じゃないだろ、オレもやらねば!」と決意。ついにつば九郎に打診を試みた。

 ……こうして、文春野球史上初となる鳥類が登場。9月6日の『せばんごう42のどんよくなおとこ「ぐっち」とのやくそく』がアップされることになった。つば九郎の登場は、やはりインパクト大だった。結果的に1万を超えるヒット数をたたき出し、今シーズンの文春野球ホームラン王に輝くと同時に、ヤクルトの文春野球ペナント制覇を確実なものとしたのだった。ありがとうつば九郎。まさに、僕が目指していた人類と鳥類の融和と調和が実現した瞬間だった。

つば九郎と由規 ©文藝春秋

 さて、8月以降のヤクルトは、去年までがウソのような堂々たる戦いぶりを見せた。16日には「原樹理プロ初完封!!」の文字が躍り、25日には「2年目ビックリ 梅野」とあるように、4番手で登板して7回を無失点に抑えた梅野雄吾が嬉しいプロ初勝利を飾った。さらに、甲子園球場で行われた29日の対阪神戦は感動的だった。「再生 古野 3年ぶり1勝」と大見出しが打たれて、16年オフに育成契約となったものの、今年の7月に支配下に復活した古野正人の感動的な勝利がカラーで報じられている。しかし今シーズンオフ、古野は自由契約を宣告され、チームを去ることとなった。古野の1勝があったからこそ、ヤクルトは2位になれたのだ。僕は古野の雄姿を絶対に忘れない。