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キズナアイのプロデューサーが考える「サブスク時代に音楽はどう存在すべきか?」

Yunomiの考えるこれからの音楽レーベルのありかた

note

この時代に「音楽を所有する」ということ

――1月には「DOWNLOAD CARD SUMMIT 2019」にも参加されるそうですが、このダウンロードカードの意義をどんなふうに考えているんですか?

Yunomi 音楽を「所有」するっていう意味では意義が大きいと思ってます。音楽のマーケットでの配信型が始まってずいぶん時間が経ちましたけど、僕はデジタル配信って明確に2つに分けて考えなきゃならないと思っているんです。一つはサブスク(サブスクリプション)で、これはSpotifyやApple Musicなどといったサービスですよね。要するに音楽を聴く「権利を有する」ためのサービス。もう一つは楽曲をダウンロードしてHDに保存する「音楽の所有」。で、人ってやっぱり所有欲があるはずなんですよ。サブスクは解約すると聴けなくなるけど、所有すればデータは残るし、なるべくいい音で所有することもできる。

ダウンロードカード

――問題はどう、その所有欲を動機付けるかですよね。

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Yunomi ですよね。「ファンだったら中古で買ったり、借りたりせずに新品を手に入れよう」っていう僕らが中高生の時にあった空気感がこの時代でどう熟成されていくのか。受け手にはサブスクで聴けるならいいや、作り手にはサブスクで再生回数回ってるなら利益も発生するんだしいいやって考え方もあるでしょう。でも、クリエイターとしては、できるだけいい音――つまり容量の多いファイルで聞いてほしい、ジャケットの美しさやかわいさも楽しんでほしいみたいな思いも強いわけです。だから、うーん……難しいですね。所有欲と音楽の品質が掛け合わさったちょうどいいところ、「所有の中央値」を探っていくのが、音楽産業にとっての引き続きの課題なのかなって思っています。

写真=三宅史郎/文藝春秋

INFORMATION

■DOWNLOAD CARD SUMMIT 2019

https://downloadcard.jp/

「ダウンロードカード」を提供する事業者が手を取り合い、リスナーが音楽をより楽しめる環境づくりを目的として開催する、お楽しみの1週間。2019年1月12日~1月19日まで渋谷地域で開催。

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