どっこい生きてる貨物専用「隅田川駅」

50年後の「ずばり東京」 最終回

長田 昭二 ジャーナリスト
ライフ 社会

その名は知られずとも、日本の物流を支える駅がある

高層ビルに囲まれる隅田川駅 ©時事通信

 秋深い月曜の朝、私は隅田川駅を訪ねた。

 この駅名を聞いて、「ああ、あそこか」とわかる人がどれほどいるだろう。知らないのも無理はない。隅田川駅は貨物専用の駅で、旅客列車の出入りはない。一般市民がこの駅に用事を持つことはまずないだろう。

 場所は常磐線の南千住駅の東側。東京ドーム5個分の敷地に16の着発線(編成の整った列車が目的地に向けて出発し、また到着する線)と、12の荷役線、5面のコンテナホームを有する国内屈指の貨物駅だ。都内にはもう1つ、品川区八潮に東京貨物ターミナル駅(略称「東京タ」)という大規模貨物駅があり、この2駅が首都圏の鉄道貨物の拠点となっている。「東京タ」が主として関西や九州など西向きの列車を仕立てるのに対して、隅田川駅は北海道や東北、新潟方面に向けた貨物列車の発着駅となっている。旅客駅に例えると、少し前までの東京駅と上野駅のような位置づけだ。

 隅田川駅や「東京タ」は日本貨物鉄道株式会社、通称「JR貨物」が運営している。1987年に国鉄から分割されて誕生した会社だ。分割民営化の際にはお荷物扱いされ、「安楽死論」まで囁かれた。

 鉄道ファン以外にとっては、JR東日本や西日本のように馴染みもないし、普段は存在を意識することもほとんどないだろう。

 ところが実際は、アマゾンなどEコマースの隆盛で増え続ける日本の物流を陰で支えてくれている、頼もしい存在なのだ――。

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source : 文藝春秋 2019年1月号

genre : ライフ 社会