暴走・迷走の経産官僚、官邸官僚の系譜、ポスト平成に向けて、油断禁物の貿易交渉

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★暴走、迷走の経産官僚

 加計学園問題で文部科学省の前川喜平前事務次官(昭和54年、旧文部省入省)が官邸に反旗を翻した。若手の頃から論客として知られる前川氏は、中曽根弘文元文相とも縁戚関係にあり、「文部行政のど真ん中を歩み、次官に上り詰めた」(元局長)。それだけに衝撃は大きい。

 国家戦略特区を利用した獣医学部新設を、文科省に認めるよう圧力をかけていたのは内閣府の特区室だが、「経産省出身者の張り切りぶりがやたらに目につく」(官邸筋)という。特区室の藤原豊内閣審議官(62年、旧通産省)もその1人。仕事ぶりは熱心だが、「勇み足も多い」というのが同僚の評価だ。働き方改革を受け持った新原浩朗政策統括官(59年)も厚労省と衝突を繰り返した。

 特区担当の責任者は、国土交通審議官を経験した佐々木基内閣審議官(54年、旧建設省)だが、実際に藤原氏を指揮していたのは、首相の懐刀である今井尚哉(たかや)首相秘書官(57年、旧通産省)だと見られている。

「今井氏が関与すると、経産省出身者は暴走しがち。失敗して責められるのを恐れているのか、手柄を焦っているのか、何が何でもねじ伏せに来る」(主要官庁幹部)

 経産省の本家を守る菅原郁郎事務次官(56年)も、相変わらずエンジンを噴かしている。シルバー民主主義を転換し、若者への投資を呼びかけた「次官・若手プロジェクト」はネット上で大きな話題になった。厚労省が所管する社会保障に切り込む構えだ。

「東芝の経営危機への対応が迷走し、菅原氏の評価は急落している」(内閣官房幹部)とささやかれるが、本人の意欲は衰えない。「退任しても、内閣参与や首相補佐官として政権中枢に残ろうとしている。若手プロジェクトはその布石だろう」(同)と冷ややかな見方も出ている。

★官邸官僚の系譜

 加計学園問題では、「官邸官僚」の力が極まっていることが改めて鮮明になった。前川前事務次官の「出会い系問題」を注意した杉田和博官房副長官(41年、警察庁)、そして圧力をかけたとされる和泉洋人首相補佐官(51年、旧建設省)は、いずれも首相官邸に籍を置く官邸官僚である。その系譜をさかのぼれば、約20年前に行きつく。

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source : 文藝春秋 2017年07月号

genre : ニュース 政治