先週のニュースレターにもある通り、「週刊文春」には32人の記者がいます。その記者たちは、いったい、どんな人たちなのでしょうか。

 「週刊文春」には、特派と呼ばれる専属契約を結んだ記者と社員の記者がいます。特派は、他の媒体で記者の経験を積んできたプロ軍団です。現在、25人。10年以上在籍している記者も少なくなく政治、芸能、事件など専門分野を持っています。中でも、相撲や将棋には非常に詳しい記者がいます。その相撲に強い記者が、「週刊文春」にスカウトされた経緯は次のようなものでした。

 ある殺人事件が起きました。犯人は元キャバクラ嬢。名門私大生のキャッチにスカウトされ、キャバクラ、風俗と転落していった女の子が、その学生を路上でめった刺しにしたのです。彼女の人物像を取材するため、「週刊文春」の記者たちは、彼女が勤めていたキャバクラ店に客として入り、面識があったと思われるキャバクラ嬢を指名しては話を聞いていました。小誌では、取材のためには人数も経費もかけられます。記者たちが取材を終え店を出ると、一人の若い男性が、お客や仕事を終えたキャバクラ嬢に声をかけていました。その記者が所属していた媒体では、経費を使えず、店に入ることができません。店の外で待って、関係者と思われる人物に次々、取材をしていたのです。当然、邪険にもあつかわれます。それでも、その彼は一人粘って聞き込みを続けていました。

 同じ記者として、彼のがんばりは非常によくわかります。感動した小誌のデスクが、「うちに来ないか」と誘い、「週刊文春」に入ることになりました。その記者は、今、事件のエース記者として、ベテランとなった今も活躍してくれています。

 先日、その記者に3月に来たばかりの若手記者をつけて、住職が女性をボンネットに乗せて暴走した事件の取材に行かせました。その結果は、当初、想定してものとは違っていました。地元ではかなり評判のいい住職だったのです。

 帰ってきた若手記者に「どうだった?」と聞くと「本当に勉強になりました」と。彼は、自分の聞きたいことだけを聞いていた。一方のベテラン記者は、相手の話にじっくり耳を傾け、自分の思いも伝えていたそうです。5時間付き合った結果、さまざまな関係者を紹介してもらえたとか。話の聞き方、あるいは飲み屋取材のやり方などベテランの取材は、若手にとって大きな刺激となっていました。

 「週刊文春」では、新人が配属されると研修などはありません。とにかく、現場に行ってもらいます。彼らが驚いて一様に言うことがあります。

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source : 週刊文春