鉄道向け空調機器などで、35年以上に及ぶ組織的な検査不正が発覚した三菱電機。杉山武史社長が引責辞任する事態に発展した。

「8月17日には、新たに香川県丸亀市で製造する配電盤を巡っても約25年間にわたり、検査不正が行われていたことを公表しました」(経済部記者)

 実は、そんな三菱電機で、不正発覚直前の5月、全従業員を対象に労働環境に関する社内調査が行われていた。小誌は今回、その結果をまとめた内部資料〈2021年度上期 従業員意識サーベイ回答結果【全社】〉を入手。右肩には〈社外秘〉と記されている。一体、どんな中身なのか。

 例えば、〈従業員エンゲージメントスコア(やりがいを感じて働いている従業員の割合)〉では、前回比2ポイント減の61%。中でも〈勤続年数別には、勤続4~10年目のスコアが著しく低い状態であり、前回比でスコアも低下している〉。項目別に詳しく見ると〈特に「当社で働くことを誇りに思う」のスコアが低下〉していたという。

「4~10年目の社員のスコアが著しく低いのには理由があります。現在の柵山正樹会長が社長だった14年~17年に、5人の労災認定者を出し、うち2人が過労自殺。19年には新入社員がパワハラを苦に自殺しました。彼らは入社直後から、労働環境の悪さを実感してきた世代なのです。それだけに柵山氏の会長続投に批判的な声も上がっています」(三菱電機社員)

 今年度より、新たに追加されたのが〈組織風土〉に関する設問だ。だが、〈明らかに達成できないような高い数値目標が課せられることがある〉などの質問に対して、ノーと回答したのは、半数以下。こうした数字を受け、〈特に、「全体主義」(組織への過度な貢献)、「圧力的雰囲気」(過度に高い目標)、「属人風土」(鶴の一声で物事が決まる)に課題がある〉と結論づけている。

「さらに〈ほとんどの設問で、一般従業員と役職者との間には大きな認識ギャップがある〉と指摘。多くの幹部たちが『オープンで率直なコミュニケーションができている』などと“勘違い”していたことも浮き彫りになりました」(同前)

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source : 週刊文春 2021年9月2日号