通算14年の「週刊文春」生活で、初めての経験をしました。1日に同じ相手から2通の抗議文を受け取ったのです。2通目の右肩には大きく「訂正版」の文字。抗議文はよく届きますが、「訂正版」は初めてでした。

 小誌は、8月26日発売号の右トップで「菅『側近』横浜カジノ業者から違法接待」と題する記事を掲載しました。ノンフィクション作家の森功さんによる記事は、横浜市副市長でIR担当の平原敏英氏が、カジノIR構想への参入を狙う業者から、たびたび高級料亭で接待を受け、情報を提供していた事実を報じています。森さんは接待の詳細な記録、領収書、その場で平原氏が渡したペーパーなどの物的証拠を入手。当事者である平原副市長、接待した業者にも取材した上で、記事にしました。

 雑誌が発売された26日13時15分、編集部に3枚のFAXが届きました。横浜市報道担当から私宛てに送られた文書には、記事について、こう書かれていました。

<以下のとおり事実と異なる不適切な記事内容となっていることから、強く抗議し訂正を求めます。>

1通目の抗議文

 5項目について、小誌記事について事実関係を否定した上で、最後にもう一度ダメ押ししています。

<記事内容には重大な事実誤認や取材を受けた平原が否定した内容も含めて構成されているものであり、強く抗議し訂正を求めます。>

 一読した私の頭には、いくつもの疑問符が浮かびました。具体例をあげれば、接待について、抗議文では次のように書かれています。

初回登録は初月300円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春