昨年、給料の支払いを止められ、新曲制作も中断。本人に取材を申し込むと、「俺は不器用にしか生きられない。聞かれたことには答えるよ」
開創300年を超す世田谷区の古刹では、毎夕定刻になると境内に低い鐘の音が響き渡る。小林旭(83)の自宅は、その寺の所有地に立つ地上3階地下1階の大豪邸だ。
「鐘の音はもう慣れっこだから気にも留めなくなったけど、風情があるよね。最近じゃお寺の方も住民に気遣って音を小さくしているから、除夜の鐘もかすかに聞こえるくらいだ。コロナの今は毎日、ゴルフ中継を見たり、ゴロゴロしながら気ままに過ごしているよ」
20畳はあろうかという広いリビングで記者と向きあった小林は、抱きかかえた黒猫を愛でながら鷹揚に語り始めた。だが、この豪奢な邸宅には2億円余りの抵当権が仮登記されており、“恩人”との間で、双方が弁護士を立てる紛争に発展している――。
昨年、芸能生活65周年を迎えた小林は、日活の黄金期にマイトガイの異名を取り、タフガイ・石原裕次郎と人気を二分した、最後の銀幕スター。歌手としても数多のヒット曲を擁し、毎年のように全国各地でワンマンコンサートを行なってきた。
一昨年11月に82歳の誕生日を迎えた際には、約2年で全国100箇所を巡るソロツアー計画をぶちあげている。実現すれば史上最高齢記録になるはずだったが、コロナ禍で延期を余儀なくされ、いまだ開催の目処は立っていない。さらに、追い打ちをかけるように勃発したのが所属事務所との金銭トラブルだった。事情を知る音楽関係者が明かす。
「10年近く前から旭さんのコンサートやイベントを手掛けてきた芸能事務所の夢グループが、昨年秋ごろに旭さんと衝突し、公式HPから旭さんに関する多くの記事やリンクを削除してしまったのです。この2月にリリースされる予定だった新曲の制作も、音入れを終えた段階で中断されたまま、毎月数百万円単位で支払われていた給料もストップしている。現在も両者の軋轢は解消されず、弁護士同士で話し合いを続けています」
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source : 週刊文春 2022年2月3日号