「(ロシアへの)人種差別をやめろ! ジェノサイド(大量虐殺)をやめろ!」
「ロシア人よ、顔を上げて世界へ出ていけ!」
3月6日、自身のSNSにそう投稿したのは、元フィギュア選手のエフゲニー・プルシェンコ(39)だ。
「五輪ではトリノ、ソチ(団体)での金を含む4大会でメダルを獲得。アクセルジャンプをはじめ、転倒率が非常に低い。いまや“皇帝”の異名を持つフィギュア界のレジェンドですが、生まれは旧ソ連・ハバロフスクの労働者階級の家庭でした」(運動部記者)
幼少期はリンゴ1個を母親と分けて空腹を満たし、拾った空き瓶を売って生活するほど貧しかったプルシェンコ。人生を一変させたのが、隣人からシューズを譲り受けたのをきっかけに始めたフィギュアだ。
「旧ソ連では国威発揚のため、有望な若手を援助する『ステート・アマ』という制度があった。その最後の世代だったプルシェンコも実力を見出され、政府から多額の支援を受けていたのです」(国際部記者)
ソ連崩壊後、柔道を「人生の一部」と語るプーチンが大統領に就くと、再びスポーツに資金が投じられるようになる。02年に創設された大統領基金は、トップクラスの選手らに月約5万円を支給。ソチ五輪では、金メダリストへ約1240万円の報奨金と、1500万円相当のベンツが贈られていた。金メダリストへの報奨金が約250万円という米国以上の手厚さだ。
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source : 週刊文春 2022年3月24日号