「小泉さん、廣瀬さんで今度は私ですか(苦笑)」

 印象的な黒縁メガネとしゃがれ声でそう語るのは、筑波大学教授の中村逸郎氏(65)。今回の侵攻を予測した数少ない専門家の一人だ。

「救世主はトランプ」とも

 小泉悠氏、廣瀬陽子氏と並んで露出が目立つ中村氏。昨年2月発売の『ロシアを決して信じるな』(新潮新書)も4刷が決定したという。そんなロシア研究の第一人者に話を聞いた。

小泉氏
廣瀬氏

「5歳の時にキューバ危機が起きました。教師だった父から『戦争になる』と聞かされ、一人で洞窟を掘って避難したりして。子ども心にソ連は“怖い存在”と怯えていたんですね。その後、小、中、高と進むにつれ、どんな国か深い興味を持つようになりました」

 学習院大学に入学するとソ連研究を開始。ソ連共産党をテーマに博士論文を執筆したのだが、学内で大きな物議を醸したという。

「共産党末端組織の秘密文書5000頁を入手して論文を書いたんです。それまで共産党には得体の知れない恐ろしいイメージがあったのですが、実は夫婦喧嘩の仲裁など市民の悩みを聞くことが党員の主な職務と判明して驚いた。審査では内容そっちのけで入手にいたる細かい経緯を徹底的に尋ねられ、まるで犯罪者のように扱われました(笑)」

 以来、毎年ロシアを訪れているという中村氏。では、「ロシアを決して信じなくなった」キッカケは?

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source : 週刊文春 2022年3月31日号