「財務次官、モノ申す」と題した“バラマキ批判”論文で、吏道の在り方を高らかに掲げた矢野氏。だが、自らの娘夫婦のトラブルを巡って県警の捜査が通常では考えられない展開を辿っていた。その背景にあったのは――。
森友問題で行政を歪めた財務省。その現トップ、矢野康治事務次官(59)の娘の事件を巡り、「圧力」があったのではないか――。
小誌にこうした情報がもたらされたのは、今年4月初めのことだった。
矢野氏と言えば、昨年10月8日発売の月刊誌「文藝春秋」に、バラマキ型の経済政策を批判する論文「財務次官、モノ申す」を寄稿した人物。衆院選を目前に控えた時期に、現役次官が異例の発信を行ったことで大きな波紋を呼んだ。
「史上初めて一橋大卒で財務事務次官まで上り詰めた矢野氏は、省内きっての財政再建論者。12年末に当時の菅(義偉)官房長官の秘書官に起用され、出世の階段を駆け上がりました。相手が政治家でもハッキリ意見する姿が、菅氏にも高く評価されていた。官僚は『“心あるモノ言う犬”であるべき』と語っています」(財務省担当記者)
そんな矢野氏を巡る“事件”が起きたのは、2017年12月13日の午後9時頃。現場は千葉県内のあるマンションの一室だった。
「その部屋には、若い夫婦が住んでいました。夫婦喧嘩がエスカレートし、夫がテーブルの上に置いてあった幅13センチ、高さ6センチ程の陶器製の皿を手に持ち、妻の頭に振り下ろしたのです」(捜査関係者)
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source : 週刊文春 2022年5月5日・12日号