「一定の損失はあるものの、ロシア経済はより強くなりつつある」
5月26日、旧ソ連諸国が集まった経済フォーラムで、プーチンはこう胸を張った――。
確かに、経済指標からはプーチンの言葉通りの動きが窺える。ルーブルの値動きを見てみると、ウクライナ侵攻前は1ドル80ルーブル前後だったが、侵攻後に急落。一時は1ドル150ルーブルにまで落ち込んだ。ところが、3月半ばから急速に持ち直し、5月30日現在、1ドル65ルーブルと近年で最も高い水準だ。西側から金融制裁を受けているにもかかわらず、ルーブルの価値は侵攻前よりも高まっているのだ。
「異常なぐらい高くなっている印象です」
こう語るのは、ロシア経済に詳しい北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの田畑伸一郎教授だ。
「ロシアは石油と天然ガスで外貨の半分以上を稼いでいますが、本当に購入を止めているのは米国ぐらいで、実は売買がまったく止まっていません。さらに、石油と天然ガスは価格が高騰していますから、外貨が大量に獲得できている。今年1月から3月の経常収支をみても、海外企業の取引停止などで輸入が減る一方、輸出は好調で大幅な黒字。結果としてルーブルが高くなっています」(同前)
ロシア金融当局の政策も効果的だった。ロシアNIS経済研究所の服部倫卓所長が解説する。
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source : 週刊文春 2022年6月9日号