大小1万7000もの島々から成るインドネシア。日本の約5倍の面積を持ち、約2倍の人口がひしめくこの島嶼国家に、詐欺一家の大黒柱・谷口光弘(47)は逃げ込んだ。かつて再起を賭け、“油田開発”ビジネスを仕掛けた国だった。
給付金詐欺の摘発が相次ぐ中、同一グループとしては最大規模となる約9億6000万円を詐取したのが、光弘を中心とした三重県の谷口一家だ。元妻の梨恵(45)、長男の大祈(だいき)(22)、次男(21)はすでに詐欺容疑で逮捕されている。
「家長の光弘は、山っ気が強く、金儲けが大好きな男です。指名手配写真の印象とは違い、人当たりがよくて頭も切れた。奥さんや息子たちは、いつも光弘に言われるがまま仕事を手伝うだけでした」(知人)
三重県松阪市生まれの光弘は、早大受験に失敗するも、20代で複数の飲食店を経営する実業家として頭角を現した。30歳前に宅建免許を取得すると、不動産業にも進出。一方で梨恵と結婚後は、3男3女の父となり、市内に露天風呂付の中古豪邸を購入する。
だが、2011年に住宅ローン詐欺事件を起こして以降、順調だった光弘の実業家人生は暗転していく。
「谷口は太陽光発電ビジネスにもいち早く参入していて、莫大な利益を上げていた。その頃は赤いフェラーリに乗っていてね。ところが、ローン詐欺で逮捕されてから数年後、国税が入って、貯め込んでいた資産を追徴金でほとんど持っていかれたんです」(同業者)
その後は仮想通貨に手を出したり、韓国で飲食店経営に乗り出したが、成功は収められず。16年以降、勝負を懸けてのめり込んだのが、インドネシアの油田開発だったのだ。
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source : 週刊文春 2022年6月16日号