6月6日、情緒ある温泉宿に足を踏み入れたのは、スーツ姿の労働局職員たち。小宴会場での聴取に応じた従業員は口々に告白した。

「休業日に出勤を命じられたことは何度もあった。不正に当たるのではと、ずっと疑問に感じてきました」

1956年に創業

 石川県加賀市、山代温泉郷の中心部に、旅館「瑠璃光」「葉渡莉」を経営する「よろづや観光」はある。従業員数は約250人。萬谷浩幸社長は地域振興の旗振り役で、来年秋公開の小芝風花主演の映画『レディ・カガ』のロケ地でもある。

 だがこの名宿で不正が横行する実態を、現役社員たちが石川労働局に告発したのだ。幹部のA氏が語る。

「当社はコロナが拡大した2020年4月以降、2宿合わせて約15カ月の休館期間がありました。その間、約20名の幹部は補助金申請や通販業務、館内整備等に追われた。月の出勤日数はコロナ以前並の22日前後でしたが、“休業日”としてタイムカードを押さぬよう徹底されたのです」

3代目萬谷社長(同社HPより)

 発端は20年5月、幹部会議で示された萬谷社長の方針にあった。社長は、

「お金は雇調金(雇用調整助成金)が支給されるわけだから、休んでいても仕事しても同じ。ならぼんやり休んでいることないよね」

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source : 週刊文春 2022年6月23日号