6月20日、梅雨が明けた沖縄には夏の太陽が照り付けていた。プールサイドのデッキチェアに横たわるビキニ姿の女性の足元に、黒のタンクトップから真っ赤な肩をのぞかせたサングラス姿の男が腰かける。女性はおもむろに上半身を起こすと、バッグからサンオイルを取り出して――。
昨年の東京五輪で、日本フェンシング史上初となる金メダルを獲得した男子エペ団体。日本中を歓喜の渦に巻き込んだ立役者はエースの山田優(まさる)(28)である。
三重県出身の山田は小2からフェンシングを始め、中2の時に日本代表コーチに才能を見出された。身長184センチという恵まれた体格を武器に、高校時代から頭角を現わす。
「インターハイを2連覇して日大に進むと、14年に世界ジュニア選手権の男子エペで日本人として初優勝。20年のグランプリ・ハンガリー大会で金メダルを獲得し、東京五輪代表に選ばれた」(スポーツ紙記者)
21年9月には日本史上2人目の世界ランキング1位に輝き、現在の国内ランキングは1位。私生活では18年に元フェンシング選手の女性と結婚し、2歳の息子の父でもある。
そんな山田を含むエペ日本代表チームは、7月にエジプトで開かれる世界選手権を前に、6月18日〜25日の日程で沖縄合宿を組んでいた。参加者は選手やコーチ、その家族を含む総勢30人の大所帯だ。
しかし、この合宿にはフェンシング関係者からこんな疑問の声が上がっていた。
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source : 週刊文春 2022年7月7日号