「この問題に失望し、辞めていった仲間もいた。若い記者たちは取材現場で『京都新聞は何をやっているんだ』と責められている」
刑事告発後、記者会見に臨んだ京都新聞のベテラン記者2人は、こう語った。
6月29日、彼らが個人加盟する労組「関西新聞合同ユニオン」は、長年にわたって京都新聞を支配してきた「オーナー家」一族、京都新聞ホールディングス(HD)の大株主で、元相談役の“女帝”白石浩子氏(81)と、浩子氏の長男で、HDの元代表取締役・京大氏(48)を、会社法違反(利益供与)の容疑で、京都地検に刑事告発した。
告発状によると、京大氏は代表取締役だった2019年7月〜21年2月の間、母親の浩子氏に対し、業務実態がなかったにもかかわらず年間3550万円を不正に支出したという。
実は、「白石家」による京都新聞支配は、業界では周知の事実だった。浩子氏の義父、白石古京氏は終戦直後の1946年、京都新聞の社長に就任。91年に亡くなるまでの45年にわたって権勢を振るった。81年には息子で、浩子氏の夫である英司氏を後継社長に据えるなど、会社を私物化。英司氏が就任からわずか1年半で急逝すると浩子氏が会長に就く。古京氏の死後、彼女による会社の私物化がエスカレートした。
「98年には、英国の写真専門学校卒の京大氏の入社をゴリ押ししたのですが、その京大氏は2005年に覚醒剤取締法違反で警察に逮捕され、退社しました。ところがその6年後、彼を執行役員として復帰させたのです」(京都新聞関係者)
しかし20年、当時の京都新聞社長が、秘密裏に内部調査を開始。浩子氏に、長年にわたって法外な高額報酬が支払われていた事実を特定し、21年3月、浩子氏を相談役から解嘱した後、第三者委員会を立ち上げたのだ。
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source : 週刊文春 2022年7月14日号