「あの日、私はいつも通り自宅マンションに帰ろうとしたのですが――」
そう重い口を開くのは、「世界日報」の元編集局長で、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)本部の広報局長も務めたA氏だ。
民放幹部が言う。
「統一教会は苛烈な抗議で知られており、大手メディアは教団の報道に及び腰になっていました」
実際、2011年に小誌が教団の資金に関する問題などを報じると、約2カ月にわたって信者たちのデモが小社を取り囲んだ。他方で統一教会の報道を巡っては、不可解な出来事も相次いできた。1990年代前半には、教団の問題を追及していたジャーナリストの有田芳生氏や小誌取材班に尾行が付いたこともある。
中でも、古くから統一教会を取材する人たちの間で語り継がれてきたのが、今から40年近く前に起きた“凄惨な事件”だ。
当時、積極的な勧誘活動で、日本でも急速に勢力を拡大していた統一教会。30代前半だったA氏が世界日報に入社したのは、1980年のことだった。
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source : 週刊文春 2022年8月4日号