「統一教会に迷惑をかけて申し訳ない……」
事件後、山上徹也の母親が漏らした言葉だ。我が子が元首相を殺害してなお、信仰を優先する母の姿は世間を震撼させた。
かつて小誌は、統一教会の著名信者2人の“脱会手記”を掲載した。飯星景子(92年11月12日号)、そして山﨑浩子(93年4月29日号)だ。その告白は巧妙なマインド・コントロールの方法と脱会の困難さを浮き彫りにする。
統一教会は最初、正体を明かさずに忍び寄ってくる。92年3月、タレントの飯星は友人のスタイリストに頼まれ、教団のダミー団体が開いたパーティの司会を引き受けた。それがきっかけで統一教会の勉強会に参加。重要なのは、入信する前に人間関係をがっちり固めてしまうことだ。
〈むしろ、私にとって魅力だったのは、そこに集まる女性達であった〉〈その彼女達の共通語こそ、「神様」だったのである〉(飯星)
新体操スクールを運営していたタレントの山﨑も89年、友人を通じて自己啓発の集まりに通い始めた。そこで出会うのは温かく、優しい人ばかりだったという。高額な壺を売りつけ、教祖が結婚相手を決める統一教会には嫌悪感しかなかった。だが、その集まりの“正体”を知らされた時には、もう後戻りができなくなっていたのだ。
〈本当にショックだった。しかし、その時は、もう教えの素晴らしさに魅入られていた頃だった。だから、これが本当にいいものなのか、納得のいくまで聞こうと決心した〉(山﨑)
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source : 週刊文春 2022年8月11日号