「個人で実行するにはあまりにも多額の工事代金を、長期に渡り不正に経理処理している」
7月26日、仙台市内の貸会議室に集められた約60名の幹部の前で、西松建設の濵﨑伸介・北日本支社長はこう苦々しく語った。
西松建設は1874年創業の老舗ゼネコンで、従業員数は約3000人。東証プライムにも上場しており、今年3月期の売上高は3200億円を超える。同社の札幌、東北の両支店を管轄する北日本支社で、一体何が起きていたのか。
幹部会に招集された幹部の1人が語る。
「コロナ禍なのに各地から幹部が緊急に集められ、会場は騒然となっていた。そこで支社長は『非常に大きな出来事がありました。皆さんの胸に刻んで頂きたい』と告げ、約9億円に上る不正な会計処理が行われていた事実を明かしたのです」
不正を行っていたのは、宮城県利府町にある「イオンモール新利府」の新築工事を指揮していたA所長だ。
「50代前半のA所長は支社内のイオンモールの大型事案をいくつも手掛け、社内でも期待のエースでした。ですが担当する工事で損失が発生していた実態を会社に隠すため、会計を操作していたのです」(同前)
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source : 週刊文春 2022年8月11日号