「死にたいとは思わないけど、消えたい」。華やかな表舞台とペットのいない自宅――その「落差」が芸能人のペットロスを凄絶なものにする。前号の上沼恵美子に続き、胸中を語ってくれたのは2月に愛猫を亡くした壇蜜だ。
「びっくりしたでしょ?」
インタビュー用に用意した部屋に入るなり、壇蜜さんはいきなりそう言った。
私は「お痩せになったな、とは思いましたが……」と口ごもってしまった。
今年2月、壇蜜さんは愛猫「久石(クインシー)」(♀・スフィンクス)を亡くした。壇蜜さんとマネージャーの仲谷氏の好きなミュージシャン、クインシー・ジョーンズにちなんで名付けられたその猫は、壇蜜さんの著書にも頻繁に登場している。
〈猫とぐっすり寝ている時が一番幸せだというのは、結婚後も変わらない〉(『新・壇蜜日記』より)
私は編集者時代、壇蜜さんの担当だった。だから芸能界を生きる壇蜜さんにとってクインシーが「戦友」というべき存在であることも知っていたし、その死の衝撃は分かっているつもりだったが、予想以上に憔悴した姿に動揺してしまったのが冒頭の場面である。
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source : 週刊文春 2022年9月1日号