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8月31日、大阪・梅田のホテルのロビー。前衆院議員の川内博史氏が赤木雅子さんに示した文書の冒頭には「告発状」と記されていた。佐川宣寿元財務省理財局長ら3人を刑事告発する内容。詳しく説明を聞くうち、雅子さんの目に涙があふれた。
「こんな手があるなんて、ほんとに……。もう終わりかと思っていたので……」
ハンカチで目頭を押さえながら、言葉が続かなかった。夫・俊夫さんを自死に追い込んだ公文書改ざん事件の「真実が知りたい」と国と佐川氏を訴えてきた。だが国は昨年末、請求を丸呑みする「認諾」という不意打ちで裁判を終結させた。佐川氏に損害賠償を求める民事訴訟は、本人が一度も出廷せぬまま11月に一審判決を迎えようとしている。
そこで雅子さんは新たな一手に打って出た。佐川氏らの刑事処分を求める告発状を、9月16日、東京地検特捜部に提出したのだ。
告発されたのは佐川氏と、元財務省理財局総務課長の中村稔氏、元同局国有財産審理室長の田村嘉啓氏の3人。いずれも森友学園への国有地8億円値引きの発覚後、事実を隠蔽する公文書改ざんに関わった人物だ。だが「ちょっと待てよ?」と疑問に思う方も多いだろう。改ざん事件は大阪地検特捜部の捜査で全員不起訴、つまり「お咎めなし」となったんじゃなかった? それはそうなのだが、今回告発したのは改ざん行為そのものではない。「その手があったか!」という新発見なのだ。
森友事件発覚時、経緯に関心を持つ人々から、関連する文書の開示請求が次々と財務省に寄せられた。財務省は「そんな文書の存在は確認できない」と突っぱね、不開示とした。だが中村氏と田村氏は、それらの文書が実は省内に存在することを知っていたことが、2018年6月に公表された財務省の調査報告書に記されている。あると知りながら「ない」という理由で不開示にするのはあからさまなウソだ。だが彼らはウソの理由で、不開示決定通知書の作成を決裁した。ウソと知りながら虚偽の公文書を作り、開示請求者に交付した行為は、有印虚偽公文書作成罪、同行使罪にあたる。
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source : 週刊文春 2022年9月29日号