「猪木会長の様々な言葉が胸に刻まれ、その影響を受けて今の自分があります」

 高島宗一郎福岡市長(47)。地方局のアナウンサーとして初めて「ワールドプロレスリング」(テレビ朝日)の実況を務めた異色の経歴を持つ現職の市長である。

 高校1年生の時に、猪木会長の『たったひとりの闘争』を読んで、政治家を志すようになりました。

「正義の反対は悪ではない。もう一つの正義である」

 報道を鵜呑みにすることのリスクや、世界には日本の常識が通用しない国があることを強く意識するようになったのです。

 政治家を目指す第一歩としてアナウンサーになった私は、猪木会長と仕事をする機会を得て、その口から発せられる言葉を直接聞く幸運に恵まれました。政治家としての猪木会長は、政治を動かすのは人間であるという泥臭さを大切にされていました。北朝鮮、イラク、キューバなど日本からするとパイプが乏しいような国々とのルートを大切にしていたのは、「まずは話してみないと何も生まれない」ということが原点にあったからでした。日本人を拉致した北朝鮮について、許せないという嫌悪感しかないと言った私に、次のようなエピソードを話しました。

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source : 週刊文春 2022年10月13日号