「私が直接管理する政治団体でなく、収支報告を含め、事務処理の詳細は承知をしていないところです」
小誌が10月25日夜配信のスクープ速報で報じた「寺田稔竹原後援会」の会計責任者が故人だった問題。これを受け、寺田稔総務相は31日、国会の場でそう答弁したのだが……。
政治資金を所管する総務省のトップにもかかわらず、自らの政治資金に関する疑惑が噴出している寺田氏。小誌はこれまで、妻・慶子氏が代表の政治団体「以正会」を巡る“脱税疑惑”や、資産等報告書に貸付金を記載せず資産公開法違反の疑いがあること(後に訂正)などを報じてきた。
「10月31日の国会では、慶子氏が発行した領収書についても問題視されました」(政治部デスク)
寺田氏が代表の「自民党広島県第5選挙区支部」と関係政治団体「寺田稔呉後援会」の収支報告書によれば、年120万円の賃料を慶子氏に支出している。
訂正が不可能な疑惑の60万円
「印紙税法では、5万円以上の領収書を発行した場合、収入印紙の貼付が義務付けられています。ところが、18年分の領収書(120万円×2枚)には印紙が貼られていなかった。印紙による納税を怠った状態です。印紙税法違反の疑いを指摘されると、寺田氏は『貼付していない段階でコピーを取り、選管に提出した。提出期限の関係でそうなった』と答弁しました。しかし、予め提出期限などは承知していたはずであり、苦しい釈明です」(同前)
不可解な政治資金処理は枚挙に暇がない。
寺田氏が所属し、岸田文雄首相が率いる宏池会の13年の収支報告書によれば、同年12月12日付で以正会から60万円の寄附を受けている。が、以正会の報告書にはその支出が記載されていない。これも、政治資金規正法違反(不記載)の疑いがある。小誌が10月3日、大臣秘書官の迫田誠氏に尋ねたところ、
「これはミスです。記載し忘れたので、訂正します」
と回答していた。
だが総務省に確認したところ、10月31日時点で報告書は訂正されていない。それもそのはず、訂正など事実上、不可能なのだ。
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source : 週刊文春 2022年11月10日号