銃撃から半年近く、昭恵夫人は今も夫の遺骨を富ヶ谷の自宅で守り続けている。だがその家を所有するのは、別の人物。さらに、夫が愛してきた鳴沢村の別荘も――。浮き彫りになるのは、彼女と安倍家との“断層”だった。

 富士山麓にある山梨県鳴沢村。河口湖からほど近く、風光明媚なこの地に、憲政史上最も長く首相を務めた人物、安倍晋三(享年67)の別荘が佇んでいる。

 在任中も、ゴールデンウィークや夏期の休暇のたびに、鳴沢村の別荘で静養するのが恒例だった晋三。政財界の要人とゴルフに興じたり、気の置けない仲間を招いては手作りのタバスコ入り焼きそばを振る舞ったりしてきた。40年来の友人、鉃鋼ビルディング副社長の増岡聡一郎も近くに別荘を持っており、首相退任後は2人で日帰り温泉を楽しむこともあったという。

山梨県鳴沢村の別荘

 晋三の知人が言う。

「鳴沢村には元々、父・晋太郎さんの代から土地を持っていました。そこに、晋三さんが新たに2階建ての別荘を構えたのです。自ら庭の木の手入れをするなど、この別荘のことを本当に気に入っていた。木に剪定バサミを突っ込んだら蜂の巣があって、大変な目に遭ったこともあったそうです。喧騒から離れ、静かに読書をしたり、妻の昭恵さんとゆっくり過ごす時間をとても大切にしていました」

 晋三がこよなく愛してきた鳴沢村の別荘。ところが今年11月、この別荘を巡って、ある動きが起きた。持ち主が、“遺産”を相続するはずの昭恵(60)ではなくなっていたのだ。

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source : 週刊文春 2023年1月5日・12日号