2022年3月、女性たちが1人の映画監督の性暴力に怒りの声を上げた。日本版“#MeToo”は燎原の火のごとく燃え広がり、俳優やプロデューサーにも告発が。9カ月が経った今、当事者らが振り返る「告発のその後」。
「私が告発したのは、芸能界にはびこっていた悪しき習慣です。これまでずっと変だと思っていましたが、いざ声を上げてみると、賛同してくれる方が多く、みんなおかしなことだと感じていたんだなって改めて気づかされました」
12月下旬、撮影の合間のあわただしい中、小誌のインタビューにこう語ったのは、女優でモデルの水原希子(32)だ。
小誌は2022年3月、映画監督に性暴力を受けたという4人の女優の告発を報じた。その後、他の俳優やプロデューサーから性被害を受けたという女優たちからも続々と告発が寄せられ、足掛け3カ月にわたって報じ続けた。9カ月が経った今、加害者は、そして告発した女優たちはどうしているのか――。
最初に小誌が「芸能界の性加害」について報じたのは3月10日発売号。監督兼俳優の榊英雄氏(52)からレイプされた、卑猥な写メを送られた、などの詳細な証言を証拠写真とともに報じた。榊氏は書面で1人については「肉体関係はなかった」とし、他の3人については「合意の上」「彼女の方から近づいてきた」「相互に好意を持っていた」などと主張した。だがこれを読んだ他の女優から次々と情報が寄せられ、結局、計9人が被害を告発した。榊氏が監督を務めた映画「蜜月」と「ハザードランプ」は公開中止に至り、5月には妻でシンガーソングライターの和(いずみ)さんとの離婚が成立。
一連の“#MeToo”の発端になったのは、女優でアクティビストの石川優実さんのSNSだった。実名、顔出しで榊氏から受けた自身の被害を訴えた石川さんが、改めて今の思いを語る。
「私のもとには、榊氏からの被害を訴える声が30件近く寄せられました。多くは当時『警察に行けなかった』とか『相談先がわからなかった』などと悔やんで苦しんでいた。私だけではなかったのだと被害の深刻さを痛感しました。みんなが声を上げたことで、タブー視されていた業界の闇にスポットライトが当たったのは良かったです」
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2023年1月5日・12日号