独立行政法人・国立病院機構(以下、NHO)に所属する全国の病院で、妊娠した看護師が夜勤を行うなど、産休や育休が取りづらい実態があることが「週刊文春」の取材でわかった。こうした看護師への処遇は育児・介護休業法に違反する疑いがある。全国のNHO傘下の病院で働く多数の看護師が証言した。

 NHOは全国の国立病院、国立療養所を経営効率化などのため、2004年に一つの法人に再編した独立行政法人。厚労省が所管し、現在は140の病院、約5万3000床を擁する全国最大の病院グループである。

新型コロナウイルスのワクチンの国内最初の接種が実施された国立病院機構東京医療センター ©時事通信社

「民間病院ではコストや設備面などから敬遠されがちな難病患者や、重症心身障害の患者を多く受け入れている。災害時の医療チームの派遣も担うなど、地域の医療を公的な面から支える重要な医療拠点です」(医療記者)

「妊娠したので夜勤の免除をお願いしたら、断られた」

「週刊文春」2月9日発売号ではNHO傘下の東京医療センターにおける看護師の大量退職や労働基準法違反の疑いなどを報じたが、同グループの病院では妊娠や出産、育児に関する配慮も見られないという。

 東京医療センターの看護師が証言する。

「妊娠したので夜勤の免除をお願いしたら、『こんなに人が少ないのに?』と断られました。免除になるのは流産経験がある人や切迫早産で診断書をもらっている人くらい。午前1時15分までの準夜勤をずっとやらされ、終わるのは結局早くて2時、長いと4時。それを妊娠8カ月までやっていた。本当に体調はギリギリでした……」

 夜勤などの長時間労働は妊婦の早産や流産の可能性を高めるとされ、労働基準法でも「妊婦が請求した場合、夜勤に従事させてはいけない」と定められている。

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source : 週刊文春 2023年2月23日号