東京と神奈川の都県境として静かな流れを湛える多摩川。土手沿いに佇む狛江市の一軒家前に、レンタカーを駆った男たちが乗りつけたのは、1月19日午前11時半過ぎのこと。宅配業者を装い、伝票を手にした1人がインターフォンを押す。そして大塩衣与さん(90)が扉を開けると――。
全国で多発する特殊詐欺や強盗事件を遠隔操作してきた黒幕の「ルフィ」グループ。主要メンバーは、渡邉優樹、今村磨人(きよと)、藤田聖也(としや)(それぞれ38)、小島智信(とものぶ)(45)の4人だ。
潜伏先のフィリピン・ビクタン収容所から、長年に亘り犯行を指示してきた男たち。急転直下、日本に移送されたのは、狛江市の強盗殺人事件の僅か3週間後のこと。その背景には“2つの誤算”があった。
「狛江事件の糸を引いていたのは、テレグラム『ルフィ』の別アカウント『三橋』、そして『キムヨンジュン』。キムが実行犯を差配し、三橋がサポートするかたちをとっていた」(捜査関係者)
彼らと接点があり、狛江市周辺で事件が起きると小誌に予告していたXによれば、ルフィと三橋の正体は今村。キムを名乗っていたのは渡邉だが、今村が使うこともあったという。
今村は、テレビ朝日の『サタデーステーション』が入手した、強制送還前にビクタン収容所で撮影されたとみられる動画の中で、こう呟いていた。
「死んだのがマズいんすよ……」
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source : 週刊文春 2023年3月2日号