ソチ五輪が開催される前年――2013年の夏。カナダ・トロントの会員制施設「クリケットクラブ」のリンクで練習を終えた羽生結弦(28)は、先輩スケーターの中村健人氏と何気ない会話を楽しんでいた。話題は将来のビジョンに。当時18歳の羽生は、目を輝かせ、こう想いを馳せた。

 

「オリンピックを2連覇して、アイスショーにいっぱい出て、主役を張れるようになって。そしてしばらくしたら、結婚かな」

 当の中村氏が記憶を辿る。

「大会でも、目標の順位を口にした時は必ず達成していました。彼は昔から明確な目標を立てて、人生設計をしてきた男なんです」

 先の発言から10年。羽生は全てを順番通り実現させたことになる。ソチ、平昌と五輪2大会連続で金メダルを獲得。22年7月にプロ転向後は、アイスショーを開催すれば大盛況、今年2月にはスケーターとして初めて東京ドーム単独公演を成功させた。そしてさる8月4日、公式SNSで行ったサプライズ報告――。

アイスショーを開けば毎回大盛況

〈この度、私、羽生結弦は入籍する運びとなりました〉

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source : 週刊文春 2023年8月17日・24日号