凶悪強盗団の構成員は皇族と貴族だった⁉ ――王朝びとの本性を暴く|繁田信一

 摂関家の御曹司が人殺し⁉ 『光る君へ』第1話で描かれた貴族の犯罪は、優美で煌びやかな平安王朝のイメージを覆した。王朝民俗学研究者の繁田信一さんが、平安裏社会の実態を明かす。

 われわれが「武士」と呼ぶ存在を、平安貴族たちは、普通、「(つわもの)」あるいは「武者」と呼んでいた。そして、平安時代を代表する「兵」たちの1人は、間違いなく、源満仲(みつなか)であろう。彼は、『今昔物語集』によれば、「(おおやけ)(朝廷―筆者注)も、此を止む事無き者になむ(おぼ)()しける」ほどの、「世に並び無き兵」であり、さらに、やがて征夷大将軍として鎌倉幕府を開くことになる源頼朝には、曽祖父の曽祖父にあたる人物なのである。

 ただし、この満仲は、摂津国・陸奥国・越前国・越後国・伊予国などの受領国司を歴任したように、朝廷に仕える中級貴族でもあった。昨今の歴史学者たちは、「兵」としての活躍の顕著な平安時代の貴族を、「軍事貴族」と呼んだりもするが、ともかく、源満仲という「兵」は、確かに、われわれが「平安貴族」と呼ぶ人々の1人であろう。

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source : 週刊文春 2024年5月2日・9日号